言えた!

 玄関を出ると、ご近所の親子連れ。お父さんが息子さんと散歩に出かけるところだった。お父さんはこちらを見て少し驚いた顔をしながら、丁寧に「こんにちは」とあいさつをして下さった。歩くことが楽しくて仕方がないはずの息子さんはその様子をじっと見ながら、私の顔をじっと見つめて、少し笑顔で「こんにちは」と頭を下げた。負けないくらいこちらも深くお辞儀をして「こんにちは」とお返事。親子で顔を見合した。そして、息子さんは「言えた~。」とお父さんを見上げた。お父さんはこれ以上ないくらいの笑みで「言えたね~。」と返した。                                                    

 たった3文字「言・え・た」。この一言が親子で共有されるまでにどれだけの時が過ぎ、会話がなされたのかはわからない。何度、言えなかった日があったのかわからない。でも言える日が来るのだ。

 先週の金曜日。体育祭終了後校内の様々な場所で団集会が行われていた。無数の「言えた」、そして「聞けた」があったのだろう。たくさんの笑顔と涙とともに...。

 お父さんを見上げる息子さんの笑顔が忘れられない。何かをやり終えた(成し遂げられた)とき、想いを分かち合えることがいかに素敵かを示してくれた。小さな背中に「ありがとう」を投げた。🔥

※お父さんの驚きは私の右目横に炎が刻み込まれていたことに起因する。体育祭で何度転んでも起き上がればいいと教えてくれた炎だ。77期生の受験を、78期生の妙見を、79期生の宿泊野外を応援し続ける炎だ。