一の移動(クリスマスギフト)

1年間いろんなことがあった。年末の集会での挨拶。伝えたいことは山ほどあり、振り返りたいこともたくさんあるが、できるだけ短い挨拶がいい。メッセージをはっきりさせ、伝えよう。そう思って体育館の前方へ歩く。1年生から3年生までたくさんの生徒がいる。みんなそれぞれにこの一年を過ごしてきたのだと思うと胸がキュッと詰まる感じがした。

生徒部長の先生のお話が終わり、表彰。いつものことながら多岐に渡って、様々なことに取り組んだみんなの様々な成果が披露された。英語のエッセイ、読書感想文の表彰、バレーボール部、テニス部、バスケットボール部、スキー部。それぞれの大会での戦績、次の舞台への旅立ちなどが紹介された。先日のブログで紹介した、関わってくれる人が幸せになればいいなと思っているうちに「広告(情報)」「お料理(家庭科)」の作品で全国で準グランプリを取るなどの成果がみんなの共有するところとなった。今、その世界を味わう人、今後、10年、20年たってからその世界を堪能する人。いろんな形があっていい。誰かの幸せを願うことが、自身の幸せと繋がり、その出発点が「おもしろい」であり続ければいいと感じられる瞬間を2024年生徒登校最終日に得られたことは何物にも代えがたい幸せだ。

と思うと同時に、短い挨拶にしておいてよかったと胸をなでおろした。

以下、校長挨拶です。

 おはようございます。77,78、79期全員がひとところに集まるのは体育祭以来ですね。今日が2024年度全学年で集まる最後の日です。そして集会で77期生に話をする最後の日となります。

 自分の中で大切にしている言葉、「慈悲あるところに知恵が湧く」を大切にするなら、こんな寒い日は短いスピーチがいい。

 一年間を振り返ると苦しいことが多いよね。私も実は苦しいと感じています。うまく行かないことが多くて、多くの人の幸せを願えば願うほど成就しないことへの苦しみが積み重なる。夜中にパッと目が覚めたら、暗闇の中に「辛」いという文字が左側に、「吐」き出すという字が右側に並んだ。夜中の3時です。危ないですよね。ところがじっとそれを見つめているとふっと心がほころんだんです。なぜ心に安らぎが得られたのでしょう。少しペアで話してみてください。「吐」くの下の一を左の「辛」いの縦の棒に移すと「幸せ」が「叶う」になるでしょう。なんかほのかに幸せになるでしょう。でも、この一はどうしたら右から左に移動するのかはわからないんですよ。わからないんです。

 レストラン、お客さんがたくさんいて、でも自分のテーブルには水が運ばれてこない。こんな時にみんなはどうしますか。私は、ただひたすら気づいてもらうのを待つタイプなんですよ。まあ、仕方ないかって。ところが誰かのために何かをしなければならないときは、例えば渋谷のスクランブル交差点で行方不明になった生徒を探すためには一人ひとりに聞き込みだってできてしまう。鴨川やハーバーランド・モザイクでだって大きな声が出せてしまう。人のためにっていうキーワードがあると思う以上の力が出る体験をしてきました。

 まったく独りよがりの話をします。今、2年生は英語の問題集の小テストをしています。7年前、同じ問題集で教えたときに、生徒に私も全文覚えるから君たちも覚えなさいと言ったことがあって、7年たつのでせっかく覚えた英文もさび付いてしまって...。ところが10月26日の授業見学の時に突然ひらめいた。77期生共通テストの日までに500文を覚えられたら、試験当日、みんなが自分の実力を出し切れるという願い。全く因果関係がなく、誰にも頼まれていないのに、なぜか力が漲り、ほのかに香る幸せを感じています。460個覚えられました。もうあと少しです。私の「一」の移動はこのようにして起こります。

77期生3年生、今日が最後の集会となりました。メッセージがうまく届きますように。そしてうまく準備ができ、試験当日、自分の実力を余すことなく発揮できますように!

 78期生2年生。あなたたちの宿泊野外活動での力強さに心躍りました。頑張るフェスタでの活躍は茨木高校のこれからに大きな光を与えるものとなりました。

 79期生1年生。スプセミの時の衝撃は今もなお鮮烈に心に残っています。先日のがん講座も驚きの連続でした。いつも前向きな姿勢に背中を押されています。

 2025年、1人でも多くの人に「幸せ」が舞い込みますように!

24日夕刻。先生方がクリスマスイブを過ごすために帰途につくころ、校長室のドアがノックされた。75期生が訪れてくれた。初めてカンガルーを受け取ってくれた生徒。志望校を受けると決めたと伝えてくれに来た生徒。そしてもっと話をする機会があればよかったですと伝えてくれた生徒さんです。75期生が「二十歳」の会をするのでメッセージを頂きたいとのことでした。教師にとって幸せな瞬間の一つ、卒業生の訪問です。どの学校で勤めても卒業生が訪ねてくれるようになって初めて一人前と思って仕事をしてきました。果てしなく、この上なく幸せな時間を頂きました。

自分が世の中でなくてはならない存在だということに気づく。(この世界のいつかどこかで自分を待っている人がいる。)

進路資料の言葉を確かめあって会の成功を祈りました。盛会となりますように!

クリスマスプレゼントはこんな風に届けられるから値打ちがあるんですね。