入学式の時にも触れたが、本校では様々な桜が春の訪れからその深まりまでを告げてくれる。外国人観光客がニュースの映像の中で「花弁が舞い散る姿、散り際の美しさを見るために日本を訪れた。」と語った。桜の魅力をとらえた興味深い一言だ。130周年を迎える本校の歴史とゆかりの深い桜。淡い色から深い色まで様々だ。そんなことをつらつら考えながら、生徒玄関で、授業初日を迎える生徒のみなさんから一日の生きる力をもらえる「おはようございます」を受け取り、またお返ししていた。
アスファルトに広がる花弁たち。始業式に北村先生が仰っていたきれいな環境で学ぼうの言葉を思い出し、箒で掃き、塵取りに重ねていった。土に返ることができない花弁は塵取りの中へ、アスファルトは少しずつ元あった姿に戻っていった。
ふと塵取りを見ると、そこに集うピンクの花弁が美しいではないか。ゴミではないのだ。集められた花弁の美しさ、その花弁を供給してくれている桜。風が吹き、また舞い降りる。終わりのない作業、でも美しさに包まれ、囲まれて、何度も何度も繰り返す。私たちが携わっていることがまさにそうだ。花を咲かせ、何度も舞い降りる花弁がどこにいても輝きを放てるよう整えていく。
夢中で掃き掃除をしていたら「おはようございます」のチャンスを数回、逃してしまった。あいさつをしていたら風で、また舞い上がった。やっぱりきれいだ。とてもきれいだ。