パート担当者による楽器紹介⑩ クラリネット

クラリネットは18世紀初め頃にできた、比較的新しい楽器です。ドイツ人のフルート製作者であるデンナーさんがフランスの古楽器である「シャリュモー」を改良し制作してできました。シャリュモーとはリコーダーのような縦型の笛で、クラリネットと同じく1枚のリードを使用して音を出す民族楽器です。シャリュモーには今のクラリネットのようなキーは無かったので、音域が狭く、低い音域を得意としていました。そんなシャリュモーの音域を広げて、高い音まで出せるようになったのがクラリネットです。昔の高音トランペットである「クラリーノ」に音色が似ていたことから「クラリネット」という名前がつけられました。クラリネットが発達したのは19世紀初め頃です。ドイツ人のミュラーさんが13個のキーがついたクラリネットを発明したことがきっかけでした。現在、クラリネットはアフリカの熱帯季節林に生息するグラナディラという非常に固い木でできています。

クラリネットは豊かな表現力をもち、吹奏楽部やオーケストラなどでのクラシックやポップス、ジャズといったいろんなジャンルの演奏ができます。さらに、人の声に近いという特徴もあり、童謡や演歌などを吹いても、味が出ます。吹奏楽におけるクラリネットの役割は、主に表現力や厚みを出す、独特の音色で表情を豊かにする、響きを幅広くすることです。このようにクラリネットは、メロディー、ハーモニー、伴奏もこなす、柔らかく温かい音色が特徴の「何でも屋さん」なのです。そして、クラリネットの最大の特徴は、「音域の広さ」です。4オクターブ弱もの音を出すことができます。しっとりとした響きのある低音から、やさしさのある中音域、高音域の張りのあるきらきらした音やするどく甲高い音を出すこともでき、音の表情に幅をもっているのも、クラリネットならではです。
クラリネットはレジスターキーという左親指で押さえるキーを持っています。フルートやサックスが持つオクターブキーは、押さえると元の音より1オクターブ上がります。それに対し、レジスターキーは1オクターブと5度上がるのです。跳躍の幅が広いため、滑らかな演奏が難しいのですが、これを吹きこなせられれば全体的な音の響きが良くなるので、よく練習する必要があります。
また、クラリネットは「シングルリード楽器」で、文字通り、1枚の「リード」という薄い板を使います(サックスもこの仲間です)。息を入れることでリードを振動させて発音するのですが、この「リード」が少し厄介者なんです。当たりハズレがあり、当たりは1箱(10枚入り)で1〜2枚しかありません。しかも消耗品なので「昨日は吹きやすかったのに今日はめっちゃ音出にくい!」なんてこともザラ。なので奏者は本番用の大当たりを日々探しています。なんだかんだ言っていますが、IWOでは1枚1枚に「いちご」「みかん」と名前を付けたり、運命のリードとの出会いに胸踊らせたりと、皆クラリネットライフを大いに楽しんでいます。

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