探究Ⅱ特別講演会 生徒レポート

9月17日(木)、松原市文化会館では、2年生の「探究Ⅱゼミ」の選択者約200人を対象に、関西学院大学の 鈴木 謙介 先生が、「『変化の時代』を生きる――勉強することに意味はあるか?」というテーマで、ご講演くださいました。

ラフなスタイルで颯爽と現れた鈴木先生は、スマホを使ったアンケートを交え、生野生の回答にリアルタイムで触れながら、「グローバル化、AIの普及で日本の雇用は変わるのか?」、「社会学は、変化の時代にどのような貢献をするのか?」など、興味深いお話をしてくださいました。

講演の最後には、同じくスマホを使ってフォームに入力した生野生からの質問に次々とお答えくださり、会場は大盛り上がりでした。鈴木先生、本当にありがとうございました。

以下に、当日の講演を聞いた生野生2名のレポートを紹介します(書き手の2人も、ありがとう!)

+++++++++++++++++++++++++++ 

「日本の学校のつくりと、中央の役所の建物のつくりは、実はとても似ているんです。学校は国のために働く人材を育成するところなのです。」

9月17日、鈴木謙介先生のご講演は、このような言葉で始まりました。

実は僕は、講演が始まる前に会場の入り口で先生をお見かけしたのですが、先生はパンクバンドのシャツにジーンズと、とてもカジュアルな恰好をなさっていて、僕の頭の中の"大学の教授"のイメージとは結びつきませんでした。少し大げさかもしれませんが、講演が終了した今考えると、これも先生が、現代の日本社会について、僕たちに伝えたかったことの一つだったのではないかと思っています。

鈴木先生は、関西学院大学の社会学部の准教授で、情報化社会の中で、独自の社会理論を展開しておられます。

 講演の中で鈴木先生は、「社会で、イノベーション(=不連続な変化)が起こり、その変化についていけない人々が現れた時、起こした人が悪いのか、ついていけなくなった人々に問題があるのか」という話をして下さいました。ここでの"イノベーション"とは、あるものを発明した時、それを改良して、より良いものにしていく、ということではなく、全く異なるものを発明する、ということです。

先生は、「イノベーションを起こす側の人々は、それを受け取る側の人々のことを頭に置いておく必要がある」とおっしゃっていました。この話を聞いて、僕は、もし"受け取る側の人間になったとき、社会の変化についていくことができるのか、と考えました。受動的であることを前提として考えるのは、あまり良くないのかもしれませんが、現代を生きる、いち高校生として、従来通りの教育を受け、"今"に"今"を学ぶことに意味があるのか、疑問に思ったのです。

そこで、講演の最後の質疑応答の時間に質問させてもらいました。「コロナ時代の中、学校で勉強することの意味を教えて下さい」という問いに、先生は次のように答えて下さいました。

「僕は、勉強することに意味はないと思っています。と言ったらこの場にいらっしゃる先生方に怒られるかもしれませんね(笑)。というのも、勉強するということ自体に意味はないんだけど、社会に出て役に立つから教科書に載っているんですね。今現在、君たちがその価値や意味が分からなくても良いんです。これから社会に出て、わかるときが来ます。」

先生のお話を聞いて、なるほどと思いました。僕は最近、進学のためだけに勉強をしているように感じていたのですが、その意味はまだわからなくていいのだと改めて思いました。

今回の講演を聞くまでは、大人になるのが嫌だなあと感じていたのですが、鈴木先生のような「ハングリーな大人」に、自分もなりたいと思いました。

+++++++++++++++++++

9月17日に、関西学院大学社会学部准教授の鈴木先生から、「変化の時代」についてのお話を伺いました。先生は、アクティブラーニングを取り入れるなど、情報化社会にふさわしい大学の授業をなさっているかたわら、TBSラジオのパーソナリティとしても活躍されています。

今回の講演の特徴の一つとして、何度かスマートフォンを使用したアンケートを取っておられ、その結果をスクリーンに表示していたのですが、自分以外の生徒がどのように考えていたのか、自分は多数派なのか少数派なのかなどがリアルタイムでわかる構成が、面白かったです。

先生が講義中に前提とされていたのは、AIの発展によって失業率が高くなるわけではないということです。たとえば2013年の、"2020年になくなる仕事"という統計では、事務や販売職の消滅が危ぶまれていましたが、今でもこれらの職はなくなっていません。つまり、過去から現在にかけて、AIの発展は人間の仕事を奪ったのではなく、働き方の中身を変化させたのだとおっしゃっていました。そのため、私たちが今するべきことは、失業に備えておくことではなく、新しい働き方で必要とされるものを身に着けておくことです。

また、必要とされるものの不連続な変化、つまりイノベーションに呼応して、評価基準も変化しているとのことで、一つのことしかできない人間というよりも、一つの基準にこだわり続ける人間が時代に取り残されてしまうのだろうかと思いました。そのため、自身以外の多様な基準や考えを知り、見聞を広めることに繋がるリアルタイムでのアンケートはとても有用なので、今後もっと普及してほしいです。

"なぜ勉強しなければならないのか"という問いに対しては、新しい基準となる物差しを現代の法律や経済に照らし合わせたり、この基準を人々に提示した時に返ってくる反応を過去から学習したりするためだと教わりました。インターネットを通じて誰もが意見を言える現代だからこそ、発信する側だけでなく、受け取る側の基礎知識や想像力も求められるのだと思います。

社会学という範囲の広い学問の中でも、勉強の意味や将来の仕事についてなど、学生の私たちにも馴染みがあり、かつためになる講義をしていただけたのは、貴重な機会であったと思います。

講義終盤の質問会では、前述したアンケートと同様のフォームから受け付けた様々な質問に答えていただきました。一時間半という時間でしたが、新たな見解を得ることができました。これからの"変化の時代"に対する武器の一つにしたいと思います。

カレンダー

2024年4月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30