8月18日（日）人の時間を奪うということ=マレーシア航空で起きたこと　復路④

8月18日（日）人の時間を奪うということ=マレーシア航空で起きたこと　復路④

8月3日（土）にオークランド空港からクアラルンプール空港に行くマレーシア航空144便が出発時間を約3時間遅延し、乗り継ぎ便のクアラルンプール空港から関西空港に行くMH52便も出発時間を2時間遅延しながら、我々を待たずに飛び立ちました。次の関西空港行きの便は24時間後と言われ、往路のみならず復路もまた、予定に無かったマレーシアに入国し、熱帯のクアラルンプールで1日を過ごすことになりました。

クアラルンプール空港から車で30～40分のところにあった復路のホテルは、中心街から離れた郊外の住宅街にあり、ホテル内には土産物の売店も無く、歩いていける所は小さな公園とビル1つでキャンパスのない大学の学生向けの飲食店街しかありませんでした。朝、昼、晩の食事はマレーシア航空のバウチャーがあるので、ホテルに籠って夜の出発便の時間まで休んで待つだけという感じでした。することが無い生徒に言葉も通じない見知らぬ土地で自由行動もさせられないので、午後2時半に希望者にロビーに集合してもらい、添乗員さんの先導で2時間ほど散歩に出かけました。清水谷高校の生徒はほぼ全員が参加しました。帰路で我々と同じ羽目にあった別の大阪府立高校の引率の先生は、うちの生徒はそんな元気は無いですと言われていました。真夜中のホテル着で疲労は当然です。

空港に戻るバスは、往路と違い我々だけでした。二つの大阪府立高校の団体と神戸の高校のアダム先生の39人だけが乗りました。この39人が、昨日の飛行機に待ってもらえずに1日をクアラルンプールで無駄にさせられたということになります。前日のオークランド空港での朝食代と、このホテルの宿泊費、朝、昼、晩の食事の費用、またホテルと空港との往復の交通費を負担して、更に昨日の飛行機の我々を空席のままで飛ばして、この航空会社は平気なの？と思ってしまいます。それ以上に、我々にこの航空会社の飛行機にはもう2度と乗りたくはないと確信させるようなことを繰り返す、この航空会社のサービスは大丈夫なの？と考えさせられました。

この後の日本への帰国便は、何故だか直前に機体を旧式のものに取り替えて、34分遅れで22時59分にテイクオフし、関西空港には70分遅れで着きました。24時を過ぎて「夕食」が出されましたが、ホテルで夕食を取ったので、食べる気になりませんでした。最後尾の数10席はガラガラだったので、この日もこの便に乗り継ぎが出来なかった客があったのかなと、要らぬ心配をしながら、詰め込まれた座席をスカスカの座席に移らせてもらってしばらく寝たら、関西空港に近づいていました。出迎えの保護者には予定時刻から1時間以上お待たせしましたが、無事に帰着し、胸を撫で下ろしました。

民間企業で戦略策定のための基礎的な分析に、3C分析という、市場分析（customer）、自社分析（company）、競合分析（competitor）があり、これを元にマーケティング戦略を進める際に、4P分析、即ち、商品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販売促進(Promotion)の検討をして、自社の存在価値を顧客にアピールします。価格の勝負だけでは失う顧客もあるのではないでしょうか。

私の体験ではこれまで20ヵ国以上に行き、航空会社も20社程使いましたが、霧でフランクフルト空港に降りられず隣のデュッセルドルフ空港に降りたり、モスクワでロストバゲッジになる経験はありました。乗っている飛行機が雷の直撃を受けたり、太平洋の真ん中でエアポケットに落ちたりももありました。それでも今回のように往復の14時間遅延や、復路は乗り継ぎ遅延で24時間後の便にされ、往復とも到着が翌日になるようなことは、全く初めてでした。入国予定の無い国で、往路も復路も真夜中に見知らぬホテルに着いて、寝る時間が殆どなくなることは想像もしませんでした。

空の旅は本来、時間通りに離発着し、速くて、快適で楽しいものです。世界中で多くの人が毎日愉しく利用しているものです。今回初めて国際線を利用して海外に出た生徒も沢山いました。決して今回の飛行が「よくあること」ではない知ってほしいと思います。人にとって時間ほど大事なものはありません。命は時間、時間と命は同じということは、過去に始業式や終業式で、何度もお話しました。今回の改めてそれを生徒の皆さんに伝えておきたいと思います。同時に、せっかくの海外語学研修の経験を活かして、今回の旅に懲りずに、是非どんどん飛行機で海外に飛び出して世界で活躍する人になってほしいと願っています。