遥か彼方の雲を越えて(2)

 空の広さを教えてくれた雲は、3日目、616日、雷雲となり、「ハテの浜」への渡航を叶わないものとした。代替のグラスボートでの活動を終え、ホテルに戻る。午前中のプログラムに穴が開く。行事委員が集合し、プールの使用を決定、行事委員が当番を組み、生徒自治のもと、プールでのレクレーションを各クラスで楽しんだ。各行事委員はプールサイドで、楽しむクラスメイトを仕切りつつ、見守りながら、よい時間を過ごしているようだった。一歩間違えたら、無為に過ごしかねない時間を自らの力で切り開き、与えられた環境の中で楽しむ力を持つ茨高生。行く手を阻む雲の存在があったからこそ、まさしく、空の広さを感じられた瞬間、逆境の中で一回り大きくなる瞬間を目の当たりにした出来事であった。ビーチボールが水につからないようにみんなでカウントをしている複数のグループの中から、一人の生徒が輪の中から外れ、プールサイドを歩き始めた。忘れ物でもしたのかと眺めていたら、テーブルのところにいた私のところに歩み寄り、「楽しいです。いい時間です。」とさりげなく笑顔で一言告げ、また輪の中に戻っていった。行事を中止せざるを得ない判断、自分たちが楽しんでいることの意味、それを伝えることの意義、そして実際に歩み寄り、声に出して伝える勇気、様々なことに思いを馳せ、行動する力にただただ心が揺さぶられました。宿泊野外行事を終え、一週間、慰霊の日から一日、それぞれの心の中にある宿泊野外行事、沖縄。一生の中の大事なアルバムの一頁として残っていきますように!