伊与原新氏講演会

この日の午後、直木賞作家の伊与原新氏の講演会を本校図書室で行いました。本校職員が伊与原新氏の著書「宙わたる教室」でかかわりのある先生との縁があって、実現いたしました。企画にあたっては、本校生徒が実行委員となり、伊与原さんとやりとりしたうえで本番を迎えたとのこと。当日は、生徒、教職員、関係者で図書室が満席となりました。

伊与原さんは、冒頭から「人生に最初から決まった道があるわけではないです。真っ白な場所が広がっていて、出会いが道を変え、偶然が思わぬ分岐を生み出します。このことが底に流れていくようなお話になります。」とお話しされたうえで、ご自身の来し方、転機を語ってくださいました。伊与原さんの「ちがったら変えればよい」「遠回りは近道だった」という言葉は、これから進路を考えていく本校の生徒だけでなく、転機を迎えるかもしれないすべての人にとって、大きな支えになる言葉ではないかと思いました。
そのうえで、伊与原さんは「創造するとは」を語ってくださいました。曰く、「真似のちょっと先」「0.999......を1に」「無関係に見えるものを組み合わせる」。合理的なことはAIがどんどんとってかわる中で、人間らしい創造をするために、「衝動が導く方向へ」、文理の壁を取り外し、自由な意思、好奇心、想像力を広げていくことが大切、と強調されました。先のことは不透明なので、壁に阻まれたとしても、デザインの失敗ととらえず、たくさんの出会いを大切に、と締めくくられました。

その後の本校生徒との座談会では、生徒からたくさんの質問がありました。創作のこと、対人関係のこと、強い衝動のない自分の進路選択、物語を編む興味のきっかけの見つけ方、伊与原さんの出身学科の雰囲気(質問されたご自身が希望している?)などなど。最後に伊与原さんからのあらためてのメッセージで「まじめにかくあらねば、ばかりでなく、いいかげんや遊びがあってよく、『えいやあ』と決めて、それで大丈夫。大惨事にはならない。」と言っていただきました。
私自身もとても刺激的なひとときで、「遠回りは近道」という言葉に励まされました。ちがう表現ながら、同じ意味の言葉をある府立学校の校長先生もおっしゃっていて(「回り道は近道だったりする」)、私もまったく同感です。本講演の実現に尽力いただいた関係のみなさま、実行委員の生徒のみなさま、伊与原新様、すべての方に感謝です。