第65回卒業式と「卒業式献血」

31日(金)曇後雨

 今日65期生の門出を祝ってくださったすべてのみなさまに心より感謝申し上げます。

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式辞 

(前段部分省略)

65期生のみなさん、卒業ほんとうにおめでとうございます。

みなさんとは一年間のつきあいでした。それでも、部活動や行事の中でのリーダーシップ、希望の進路に向け自習室や職員室前のテーブルやいろんなところで頑張っていたみなさんの姿が、しっかりと胸に焼き付いています。二年前の東日本大震災の際には、あなたがたは生徒会の中心として、復興支援の募金活動を、地域の中でいち早く、そして何度も行いました。その思いは今も、後輩たちに引き継がれています。

とうほう出版という会社の発行する「現代社会」の教科書には、「復興に向けてがんばる高校生たち」というタイトルで東北地方の四つの高校に加え、本校の吹奏楽部が震災百日目に開かれた「港区ふれあいチャリティコンサート」で演奏する姿が掲載されています。遠く離れた見知らぬ人々の苦難に対し、あふれるような思いを寄せるあなたたちの心のあり方を、私は誇らしく思います。同時に、身近な人たちのことを大事にできる学年でもありました。多くの人が、受験の迫った苦しい状況の中でも、最後まで、共に過ごし共に学ぶ時間をたいせつにし続けていたことを、けっして忘れません。

そんな皆さんの門出に際し、ひとつの物語を紹介し、人が生きることの意味を共に考えてみたいと思います。

 ドイツの文豪ゲーテの代表作に「ファウスト」という戯曲があります。読んだ人もいるかもしれませんが、あらすじはこうです。当代一の学者で五十歳を過ぎたファウスト博士は、鬱々として何事にも心からの満足を得られずにいました。そんな時現れた悪魔メフィストフェレスと「望むものは何でも手に入れ、したいことは何でも実現させる代わりに、心から満足したら魂を渡す」という契約を交わします。メフィストは、ファウストを20歳の若者に戻して、若く清純な乙女と恋に陥らせたり、世紀の美女をお后に持つ王様として立派な城に君臨させたり、時空を自在に行き来させては、大凡人間として持つ欲望の限りを体験させました。しかし、どれも心の底からファウストを満足させるものではありません。最後にファウストは、海岸沿いの土地を手に入れ、海の潮から国土を守る大がかりな干拓工事を行い、緑豊かな大地を生み出す計画を立てます。苦難の末、ファウストは憂いのために視力を失ってしまいますが、工事は進み、完成間近となった時、夜を徹して働く人々の声、土を掘る鍬の音を聞きながら、「勤勉な人々が築いた高い堤防をめぐらした開拓地に、波が襲いかかっても、人々は一致協力してすぐそれをふさぎに駆けつける。そうだ、おれはこの一致共同の精神にすべてを捧げる。」と思って激しい感動に心を揺さぶられた瞬間、彼の命は終わりを告げます。「心からの満足を得られたら、その魂を渡す」という悪魔メフィストとの契約がここで成立したのです。

この長い物語の示唆するものは、何なのでしょうか?ありとあらゆる欲望を満たされても尚、心からの満足を得られなかったファウストが、人々のために自分の力を使い、人々と共に生きているという実感の中で、はじめて心からの満足を得たということ、つまり人間は、本質的に人の役に立ちたいという気持ちを持っているし、きびしい状況であっても共に苦難を乗り越えることに幸せを見いだすということです。

みなさんは、これからグローバル化の中で社会の構造が大きく変わっていく不確実な時代を生きていかなければなりません。

そこで必要とされるのは、学び続ける力です。これまでのみなさんの学びは、受験に向けて、知識を蓄積することでした。これからの学びは、違います。今の状況を少しでもよりよいものに変えるため、身につけた知識と能力を惜しみなく使って考えることです。正解のない問いに挑み続けることです。そして、そのために多くの人とつながり、力を合わせることです。それが生きることであり、成長することです。

皆さんの中には市岡高校の『自彊』の精神が脈々と息づいているはずです。自ら学び、学ぶことを通して多くの人と出会い、つながり、「共に生きる」ための英知を寄せ合いながら、世界で、地域社会で、市岡高校の卒業生として、たくましく、誇り高く生きていって下さい。

最後に、本日卒業証書を授与したすべての人の未来が、幸せなものとなることを心より願って、お別れの言葉といたします。

 

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卒業記念献血

 少子高齢化の進む中、若い世代の献血者が減少し、血液不足が心配される状況を地元の港ライオンズクラブから聞き、市岡高校を卒業する日の希望と感謝の気持ちを、少しでも社会に還元しようと、卒業式献血を実施することになりました。卒業式終了後、地元港ライオンズクラブのみなさまとともに中庭に到着した大阪府赤十字血液センターの献血車でたくさんの生徒たちが、献血に協力しました。

 

 

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