第73回卒業式 学校長式辞

 桜の芽吹きに新たな春の訪れを感じる今日の佳き日、大阪府立市岡高等学校第73回卒業証書授与式を挙行するにあたりまして、PTA会長竹川まゆみ様、教育後援会長柳川直紀様、同窓会長佐藤充利様のご臨席を賜りました上、保護者の皆さまのご列席を得ましたことは、卒業生はもとより本校教職員一同にとりましても心からの喜びであります。高いところからではございますが、心より厚く御礼申し上げます。

 3年間の学業を修め卒業証書を授与された73期生の皆さん、改めましてご卒業おめでとうございます。私は一昨年4月に着任した校長ですので、皆さんと同じ時間を過ごすことができたのは二年でした。しかし、それでも、朝の挨拶や修学旅行など、校内外でのいくつもの機会を通じて皆さんからたくさんの力と元気をいただいたと思っています。ありがとうございました。皆さんに巡り逢えてよかった、そう思っています。

 さて、高校生活を振り返って、皆さんは本当によく頑張ったと思います。いろんなことがありました。一昨年の暮れ、受験制度の土壇場での変更。あんなに準備してきた英語の外部テストと記述式問題が白紙に戻されました。そのダメージが癒えないうちに年が明けると「コロナ禍」。学校は閉鎖され、授業も部活も学校行事も、皆さんはすべての教育機会を奪われました。そしてそれは3カ月も続きました。こんな理不尽の中、皆さんは本当によく耐えたし頑張ったと思います。学校が再開されても活動は制限を受け続け、あれもダメ。これもダメ。そんな中、文化祭、体育祭に代わるichi祭。制限だらけの中、精一杯しっかりやってくれました。皆さんの真剣な顔、頑張った後の笑顔、それを見て私は皆さんに感謝の気持ちしかありませんでした。本当によく頑張ってくれました。きっと何回も心が折れそうになったはずなのに・・・皆さんの立派な態度は私の誇りです。

 しかし、ひょっとしたらこの時に皆さんは高校時代に学ぶべき一番大事なことを学んだのかもしれません。それは、修正力、復元力と呼ばれるものです。高校を出て大人に近づけば近づく程、予定を崩されたり攪乱されたりすることがどんどんと増えていき、思ったようにできないことだらけになっていきます。思い通りになる事はほとんどないと言っていいでしょう。そんな時、一度心を折られたとしても、きちんと立て直していく「しなやかで粘り強い力」が必要となるのです。ですから、この1年の経験は無駄にはならないはずですし無駄にしてはなりません。

 これからも順風よりも逆風の時の方がずっと多いと思います。しかし、順風の中を歩んできた者たちよりも、君たちは確実に強い。凧は逆風でこそ高く舞い上がる。私たちの人生は正にその通りだと思います。

 最後になりますが、皆さんには3年間を共に学んできた友という大きな財産があります。人生に迷う時に振り返ることのできる市岡高校という心強いベースキャンプがあります。未来を創造する若さがあります。その自覚と誇りを持って、幾多の困難に遭遇しながらも少しずつ復元力を身につけ、人生をしなやかにそして粘り強く主体的に生きていく。そして輝かしい未来に向かって益々精進されることを心から祈念いたしまして式辞といたします。

令和3年3月1日

大阪府立市岡高等学校長

岸野 圭吾

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