第68回入学式 と 米国帰国報告

4月5日(金)晴

 陽光に桜舞い散る美しい日、市岡高校は320名の新入生を迎えました。

                                             

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                                                             中庭の枝垂れ桜 

式辞

本日ここに、入学を許可いたしました新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。例年より開花の早かった桜が、早くもその花びらを散らせ始めています。風に流れる花びらを眺めていると「の上」という詩の一節が心に浮かびます。

「あはれ花びら流れ

 をみなごに花びら流れ」

あまりにも有名なこの美しい詩の作者は日本を代表する詩人、三好達治です。達治は1900年(明治33年)大阪市西区に生れ、旧制市岡中学(現在の市岡高校)に入学しました。生涯千篇以上の詩を残し、1964年4月5日満開の桜の時この世を去りました。故に4月5日は「達治忌」とされ、大阪市は「美しく知的な日本語で書かれた詩集」を発表した詩人に対して「三好達治賞」を贈呈しています。今年も今日の午後、大阪市公館にて贈呈式が行われます。今、すばらしい演奏でみなさんを迎えてくれた吹奏楽部が、後輩として達治の作詞による歌を贈呈式の会場で合唱します。

 

創立112年目を迎える市岡高校は、このように日本の文化や社会に大きな足跡を残す人々をたくさん輩出してきました。そして、その足跡はこのような形で後輩たちに受け継がれています。新入生のみなさん、どうかそのことに誇りを持って下さい。

再び桜の話です。今年は桜の開花が殊のほか早かったのですが、その原因はひときわ厳しかった今年の冬の寒さにあると言われています。桜がその美しい花を咲かせるためには「休眠打破」と言って、桜の眠りを呼び覚ますような厳しい冬の寒さが一定期間必要で、それがないと桜の成長は遅れるのだそうです。桜の成長を促すのはぬるま湯のような温かさではなく、身を切るような厳しい寒さだったのです。厳しい冬を経ずして、見事な開花はない、人も同じだと思います。先ほど皆さんの入場に際して演奏されたのは、本校吹奏楽部のために創られた「奇跡のつぼみ」という曲です。「将来に無限の可能性を秘めた高校生」という意味がこめられた「奇跡のつぼみ」は、本校の入学式で演奏されてきました。皆さんには無限の可能性があります。みなさんのひとり一人がたいせつな、たいせつな「奇跡のつぼみ」なのです。その可能性を開花させることができるかどうか、それはこれから始まる3年間の過ごし方にかかっています。 

東日本大震災の後、この国には、家を流され、肉親を失いながらも懸命に生きる高校生がたくさんいます。みなさんにも同じ高校生として、市岡高校に入学した今日の日から、できること、しなければならないことがあると思います。それは、生かされている命に感謝し、高校で学ぶことのできる当たり前の生活に感謝し、精一杯自分の可能性を伸ばしていくことです。そのために、ふたつのことを心がけてください。

ひとつは、しっかりと勉強することです。グローバル化の中、変化の激しいこれからの社会を生きていくためには、常に学び続けることが必要です。みなさんがしっかり勉強して、希望の進路を実現することは、国や社会を支えていくことにつながります。そのために、今から目標をたててがんばってください。勉強することを通して身につけた「自分を鍛え続ける力」は、一生の財産となります。

もうひとつは、考えや価値観の違う多くの人と心をつなぐことです。部活動やクラスの行事に積極的に参加して下さい。時には意見を闘わせながら、共に活動する中で、心は通いあい、「人とつながる力」が身についていきます。それは将来多くの人と力を合わせて仕事をしていく上で絶対に必要な力であり、一生の財産となります。

この3年間で「学び続ける力」「人とつながる力」この二つの力をしっかりと身につけてください。

本校では中庭にある鐘が朝夕に鳴り響きます。この鐘は「自彊の鐘」といい、明治44年に制定された本校の校歌の一節「自彊の鐘は高鳴れり」という歌詞に由来してつくられました。自彊とは「志や夢に向かって、自らが自分自身を励まし奮い立たせ、努力することを怠らない」ということです。創立から100年以上の時を経て、今ほどこの精神が必要とされる時はないと思っています。誰かに指示されて行うのではなく、自分で考え、自分で努力を続ける力こそ、これからの社会で、ほんとうに必要な力なのです。3年間の高校生活の中では、くじけそうになる時、目標を見失いそうになる時もあるかもしれません。どうか、そんな時には校舎の中庭にある自彊の鐘の音を聞きながら、今日の日のことを思い出し、あせらずゆっくりと、もう一度歩み出してください。

最後になりましたが、ご臨席いただきました来賓のみなさまに心より御礼申し上げます。また、保護者の皆様には、今日まで、慈しんでこられた、お子様のご入学を、心よりお祝い申し上げます。私たちが大切に考えるのは、お子様のかけがえのない未来です。教職員一同、保護者のみなさまと心をあわせ、真の愛情を持って、きびしく取り組んでまいりたいと思います。また、お子様について少しでもご心配なことがありましたら、どうぞ遠慮なくご相談下さい。

新入生の皆さんには、今日の気持ちを忘れず、勉強に部活動に3年間で、存分に自分を伸ばし、たくましく未来を切り拓く人へと成長されることを願い、式辞といたします。

米国ケントリッジ高校、ケントメリディアン高校から帰国生徒が報告に...

 入学式の後、米国ケントリッジ高校、ケントメリディアン高校への短期交換留学から帰国した生徒たちが、付添の鈴木先生、芳地先生とともに校長室に報告に来てくれました。アメリカで学んだことはしっかりと自分の意見を持ち、何でも積極的に自分から行うことと、元気に話してくれました。今後の活躍が楽しみです。

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