パート担当者による楽器紹介⑧ コントラバス

皆さん、コントラバスという楽器をご存知でしょうか?吹奏楽部の方やオーケストラが好きな方なら一度は見た事があると思います。楽団の後ろの方でどっしりと構えている、とても巨大な楽器です。吹奏楽部で唯一の弦楽器として、低音を支えています。
私はコントラバスを初めて見た時、バイオリンにビックライトをあててそのまま巨大化したような楽器だなぁと思いました。でも、実際にはバイオリンよりちょっとなで肩です。
コントラバスを担当していると、「重そう」とか「運搬大変そうやな」とかよく言われますが、実はそれほど重くありません。確かに見た目は吹奏楽いち大きいかも知れませんが、重量は約10kgしかありません。10kgというと、二歳児と同じくらいの重さです。持って帰ろうと思えば車ででも、なんと電車ででも持って帰る事ができます。

・コントラバスの歴史
コントラバスの起源は、ルネサンス期にあたります。その頃は弦楽器によるアンサンブルが盛んで、様々な音域の楽器がありましたが、なかでも最低音域をになっていたのが、「コントラバス・ヴィオール」「ヴィオローネ」などです。これらが今日のコントラバスの祖先となっています。
声楽の伴奏としての楽器演奏が盛んな時代だったので、アンサンブルの音をふくよかに、さらに巨大化する役目を与えられていました。
実は、フランス・イタリアでは19世紀まで3弦コントラバスが主流でした。
今生野高校で扱っているのは4弦コントラバスですが、現在のプロオーケストラでは5弦バスが半数以上を占めています。
それなのに、昔は3弦コントラバスが普通だったのは、不思議な感じがしますね。

・コントラバスの魅力
コントラバスは吹奏楽部で超超重要な存在です。中学生の時の吹奏楽部にコントラバスがいなかったひともいると思いますが、あるのと無いのとでは全然違います。吹奏楽部で演奏する曲にはクラシックの曲を吹奏楽アレンジしたものが多いので、弦楽器特有の響きは欠かせないわけです。
また、コントラバスの魅力はそれだけではありません。コントラバスは誰でも上手になれる楽器なのです。
私は高校生になるまでコントラバスを触ったことがなかったのですが、一年たつと難しめの曲も弾けるようになりました。これはコントラバスに素質を問わない、という特徴があるからではないかなと思います。
というのも、管楽器だと、木管は音は出ないだとか、金管は音が出ないだとか、個人の才腕が少なからず必要になります。しかし、コントラバスは弓で弦を擦って発音するわけですから、言ってしまえば誰にでも音を出す事ができます。
コントラバスは初めて触ったその日に音が出せる、というように、比較的初心者に優しい楽器なのかなと思います。だから、大人になってからコントラバスの教室に通う人もそれなりにいるのです。

・コントラバスの奏法
ではコントラバスはあっという間にマスターできるのかというと、そういうことはありません。
コントラバスを演奏するには、まず運指を覚えなければなりません。でも慣れてしまえばすぐに覚えられますのでそれはあまり問題ではありません。
問題は、ピッチを合わせるという点にあると思います。コントラバスは弦を押さえながら音を出すわけですから、自分で音をつくらないといけないのです。しかも結構強く押さえないとなかなかいい音は出てくれません。私も最初の頃は精一杯押さえても音が盛大にずれ、これだけ押さえてもダメなのかととてもびっくりしました。最初は一生懸命押さえすぎて指に豆が出来たりしますが、頑張った証なので割と嬉しいです。一年やってこれなのだから、五年やっている先輩の指はどれだけ硬いんだろうかと思いました。
また、ある程度の音感があれば、あっ!この音は少し低い!という感じで指を押さえる位置を調整し、正確な音が出せると思います。その点はすごく扱いやすいと思います。逆にちょっとでも位置がずれると微妙に違う音程になってしまうので、そこは注意が必要です。

・コントラバスを扱えるようになるまで
 個人的には、コントラバスは指の位置さえ覚えてしまえば一気に上達するのではないかと思っています。一年もすれば、コンクールで採用されるような難しめの曲も弾けるようになります。最初は指を置く位置をシールとかでマーキングしますが、人によっては徐々にいらなくなってきます。ちなみに私は未だにマスキングテープを貼っています。
最初は弦を押さえる指が痛いですが、皮膚がだんだん硬くなるので、大丈夫です。

以上のことから分かる通り、コントラバスはとても魅力あふれる楽器です。私が一番好きなポイントは、やはりなんといってもその重低音の響きです。
吹奏楽部の楽器は、音の「枠」となるものと、音の「間」となるものがあると聞いた事があります。例えば、トランペットが音の枠となり、チューバがその枠の間を埋めるという感じです。コントラバスはどっちなのかと考えた時、どちらにでもなり得るなと思います。曲調と場面によって、固い音でリズムを刻んだり、ピッチカートで柔らかい音を出したり、コントラバスは見た目は大きいですが、幅広い種類の音が出せる、すごく繊細な楽器です。

コントラバスが好きという方も、初めて知ったという方も、これから是非コントラバスに注目してほしいです。😘

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