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圧力鍋によるカップ麺容器の膨張・圧縮メカニズムの研究


圧力鍋によるカップ麺容器の

膨張・圧縮メカニズムの研究

研究者 生野高校210組 C.O. Y.K. Y.T.   

指導者 生野高校 物理教諭 T


1.?? はじめに


圧力鍋を利用すると、カップ麺容器のサイズを大きくしたり、小さくしたりすることができる。容器が膨らんだり縮んだりするメカニズムを探求した。

2.?? 研究方法


準備:圧力鍋はホリシン()STN-240を使用した・容量は6.7?、説明書のゲージ圧は80kPaである。カップ麺容器はPSP(発砲スチロール)製のブタメン(おやつカンパニー株)を使用した。


 実験①:おもりの質量と、蒸気穴の断面積からゲージ圧を計測する。


 実験②:圧力鍋に200ccの水を入れ、容器が水に浸からないような台の上に置き、火にかける。勢いよく蒸気が出たらすぐに減圧用のおもりをはずす。


 実験③:①と同じようにカップ麺容器を圧力鍋に入れ火にかける。勢いよく蒸気が出てから10分加熱し、火を止めてから自然に減圧する。


 実験④:①でできた巨大サイズの容器と②でできた小さい容器及び標準サイズの容器の同じ部分を薄く切り貼り顕微鏡で観察する。


3.??
結果


実験①では、おもりの質量74g、蒸気穴直径3.5mmで、ゲージ圧は7.5kPaとなった。もとのサイズの容器と実験②③でできた容器の写真を図1に示す。それぞれの顕微鏡写真(倍率は同じ)は図2、3,4に示す。


5.jpg  図 1 もとの容器と実験②③でできた容器


4
.考察

実験①でできた巨大サイズの容器の顕微鏡写真(図2)では、発砲スチロールの粒の大きさは標準型と大差なく、粒と粒の間の空間が広くなっていることがわかる。圧力鍋を加熱することで、カップの外部及び発砲スチロールの粒の間の空気が高圧状態となる。この状態でおもりを取り去り急に減圧すると、カップ外部は素早く減圧されるが、粒の間の空気は高圧のままとなり粒の間隔を広げたのではないかと考えられる。「ポン菓子」を作る原理と共通している。

6.jpg 図 2 膨張した容器の顕微鏡写真


実験②でできた小さなサイズの容器の顕微鏡写真(図3)では、粒の大きさは標準型より小さくなり、粒と粒の間隔も広くなっている。最初、海底に沈めた場合のように、高圧によって小さくなるものと考えたが、容器をよく観察すると熱によって変形したようにも見受けられた。1.8×10?Paにおける水の沸点は117℃である。したがって、実験②は熱収縮によって粒が収縮し、容器が小さくなったと考えられる。

7.jpg 図 3 圧縮された容器の顕微鏡写真

もとの容器の顕微鏡写真(図4)は粒と粒の間隔がない。

8.jpg 図 4 もとの容器の顕微鏡写真


5.終わりに

実際に海底に沈めた場合の容器の顕微鏡写真を比べてみたい。圧力により粒が小さくなり、粒の間の空気も押し出されてしまうのではないだろうか。さらに探求活動を深めたい。

6.参考文献

[ふくらむ容器]高杉強(2007横浜物理サークル例会報告)

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