0408 51期生入学式

4月8日(月)午後から小雨が降り始めた中を、361名の新入生を迎えての入学式を挙行いたしました。

今年の私からの「式辞」には、久しぶりに蚤の話を選びました。

校長として赴任した直後、よくしていた話なのですが、先月卒業した48期生の生徒に、「1年生の時に聞いた蚤の話を今でも覚えている」と言ってもらったので、大好きなこの話を選びました。

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吹田東高等学校51期生となる361名の皆さん、入学おめでとうございます。木々の緑も映え、まさに春らんまん、生きとし生けるものの息吹を感じる今日の佳き日に、明るく元気な皆さんを迎えられたことを、教職員・在校生一同、心からうれしく思っております。 

さて、新入生の皆さん。皆さんは自らの意思で吹田東高校を受験し、そして合格されました。様々な事情があった人もいるかもしれませんが、最終的に自分の意思で吹田東高校を選んだことを忘れないでください。ですから、絶対に高校生活を充実させ、この3年間で大きく成長する!と誓ってほしいと思っています。そして、そのために、私たち教職員一同も全力を尽くすことを約束します。

高校生活を充実させるには、という観点で、今日は、皆さんに1つの話を送りたいと思います。 それは「蚤」の実験の話です。蚤、小さな虫で、家に出たらちょっと嫌な、あの「蚤」です。蚤はあの小さな体で2メートルの高さまでジャンプできるのだそうです。ある日蚤たちを高さ50センチの箱に入れて、蓋をします。すると、どうなるか。蚤たちがジャンプすると、50センチのところにある蓋にぶつかります。ジャンプしてはぶつかり、痛い思いをすると、そのうち蓋に当たらないところまでしかジャンプをしなくなるのだそうです。そして次の日、蓋を外します。蓋を外したのだから、元のように高く飛べるのに、もうその時には、どの蚤も50センチまでしか飛びません。蓋は空いているし、2メートル飛べる能力があるにも関わらず、です。

ここから何がわかるのか。皆さんの中にも、かつて失敗した経験から「自分はこれくらいしかできない」と諦めてしまっていることはありませんか?そのとき、たまたま蓋はしまっていたのかもしれないけれど、既に蓋は開いているかもしれません。
そして今日もしできなかったとしても、明日には蓋が開くかもしれない。松下幸之助の言葉に「成功とは成功するまでやり続けることで、失敗とは成功するまでやり続けないこと」という言葉があります。
皆さんは本日から大きく環境が変わります。環境が変わる時は、新しい自分にチャレンジできるときでもあります。「蓋は空いているかもしれない」と自分に言い聞かせて、ぜひジャンプを試みてください。

そして、蚤の話には続きがあります。蓋が開いているのに低いジャンプしかしなくなった蚤たちを、再度2メートルの高いジャンプをさせる方法が一つだけあったそうです。それは、別のところから1匹蚤を連れてくることです。
新たに連れてこられた蚤は、いつも通りの高いジャンプをして、軽々と箱から出ていきます。それを見て、箱にいた蚤たちはびっくりします。「あれは特別な蚤で自分とは違う」と思う蚤もいます。でも中には「あの蚤にできたのだから、自分もやってみよう」とジャンプして、箱を出ていく蚤が出てきます。高くジャンプする蚤が増えてくると、他の蚤たちもチャレンジをはじめ、元のように2メートル級のジャンプができるようになっていったのだそうです。

この話から皆さんにお伝えしたいことは、仲間の大切さです。皆さんには新しいクラスメートができました。部活動に入る人はそこで仲間もできるでしょう。たまたま同じ高校に入って同じクラスになった、単なる偶然に感じますが、偶然を必然にするのもまた皆さん自身です。互いに高めあいチャレンジを応援できる、そんな仲間を作っていってください。

ここまでの話を聞いて、自分にはチャレンジしたい夢がないなぁと思う人もいるかもしれません。そんな人には私から1つ提案があります。それは毎日の高校生活を丁寧に過ごしてみる、「当たり前のことを当たり前にこなして」みることです。「当たり前を当たり前にする」ことは実は当たり前ではなく、私はそれができる人が一番素晴らしいと思っています。遅刻しないとか、毎日の授業をしっかり受けるとか、笑顔で挨拶をするとか。丁寧に生きる人には必ず「目標」が浮かぶようになります。そのときは、満を持して、蚤の話を思い出し、チャレンジしてみてください。

本校では1年生全員が総合的な探究の時間に【21世紀型リーダーシップ】を学びます。外部の予備校講師の授業を校内でお得に受けることのできるS講座や、オーストラリアや台湾の高校との交流、よりよい学校創りのために活動しているルールメイキングの会などもありますので、積極的に参加してみてください。

最後に保護者の皆様、大切なお子さまを本校の生徒としてお預かりいたします。今の時代は、学歴でその後の人生や生活が保障される時代ではありません。本物の学力と豊かな人間性、チャレンジする行動力を身に着けることこそが、この時代を生き抜くカギとなります。教職員一同、全力で、お子様が心身ともにたくましい大人へと成長していくための教育活動を行ってまいります。ご家庭におかれましても、学業、部活動、学校行事等の取組み、PTA活動、地域活動へのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

最後になりますが、吹田東高校51期生全員が、この学校でたくさんの仲間と出会い、新しい経験を積み上げ、高い志を持って夢に挑戦する、そんな高校生活を送られることを記念して、学校長よりの式辞といたします。

令和6年4月8日
大阪府立吹田東高等学校長 東 知佐子

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