お手上げ

 日曜日、近くのスーパーに買い物に出かけた。横断歩道の行き着いたところには小さな姉妹とそのお母さんが信号の変わるのを待っていた。信号が青になり、こちらは動き出そうとしたらお姉ちゃんが右、左、そしてまた右を見て、確認を終えた後、右手を真一文字に高く挙げてから渡り始めた。背筋をぴんと伸ばし、歩くその姿を見ながら妹もしっかりとした足取りで後に続いた。反対側から歩くおじ(い)さんは、その姉妹のりりしさにひかれ、左手を高く掲げて横断歩道を渡った。お姉ちゃんは、母親の方を振り返りながら「お母さんも手を挙げなきゃ」という視線を送った。お母さんは少しだけ微笑んでおじ(い)さんに会釈した。

 幸せって日常生活の中にあって一瞬のうちにつかめたり、逃がしてしまったりする。そう感じた一気に涼しくなった夏の夕暮れのひと時でした。