第67回入学式  式辞

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本日ここに、入学を許可いたしました新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。校門の桜が、今まさに満開の時を迎えています。

 

春ごとに花のさかりはありなめどあひみん事はいのちなりけり

 

古今集、詠み人知らずの歌です。「毎年、春が巡ってくるたびに花の盛りはあるだろうが、花の盛りをみることができるかどうかは、命あってのことなんだなあ。」と歌っています。

私は、毎年満開の桜を見るたびに、この歌を思い浮かべるのですが、昨年の東日本大震災を経て、ますますこの歌の心が、胸に迫ってくるようになりました。

「命なりけり。」そうです。今、こうして入学の喜びを味わうことができるのも、新しい出会いに胸弾ませるのも、また不安になるのも、すべては「命」あってのことです。

s-IMG_4258.jpgこの春の選抜高校野球大会、石巻工業高校の阿部主将は選手宣誓を次のようなことばで結びました。「われわれ高校球児ができること、それは全力で戦いぬき、最後まであきらめないことです。今、野球ができることに感謝し、全身全霊で、正々堂々とプレーすることを誓います。」

新入生のみなさん、みなさんにも同じ高校生として、市岡高校に入学した今日の日から、できること、しなければならないことがあるのだと思います。それは、生かされている命に感謝し、高校で学ぶことのできる当たり前の生活に感謝し、精一杯自分の可能性を伸ばしていくことです。このきびしい状況にある今の社会を生き抜く力をつけることです。そのためにすることは二つです。

ひとつは、しっかりと勉強することです。グローバル化の中、変化の激しいこれからの社会を生きていくためには、常に学び続けることが必要です。みなさんがしっかり勉強して、希望の進路を実現することは、国や社会を支えていくことにつながります。そのために、今から目標をたててがんばってください。勉強することを通して身につけた「自分を鍛え続ける力」は、一生の財産となります。

もうひとつは、考えや価値観の違う多くの人と心をつなぐことです。方法はひとつ、部活動やクラスの行事に積極的に参加して下さい。時には意見を闘わせながら、共に活動する中で、心は通いあい、「人とつながる力」が身についていきます。それは将来多くの人と力を合わせて仕事をしていく上で絶対に必要な力であり、一生の財産となります。

どうかこの三年間で「学び続ける力」「人とつながる力」この二つの力をしっかりと身につけてください。

市岡高校は明治34年(1901年)に創立され、昨年110周年を迎えた府立高校のなかでも屈指の伝統校です。平成21年(2009年)には、全日制普通科単位制高校へと改編され、そのシステムと教員のきめ細かな指導により、多くの先輩が高い目標を掲げ、希望の進路を実現していきました。そんな本校がたいせつにしてきたのが「自彊の精神」です自彊とは「志や夢に向かって、自らが自分自身を励まし奮い立たせ、努力することを怠らない」ということです。創立から百年以上の時を経て、今ほどこの精神が必要とされる時はないと思っています。誰かに指示されて行うのではなく、自分で考え、自分で努力を続ける力こそ、これからの社会で、ほんとうに必要な力なのです。

本校では中庭にある鐘が朝夕に鳴り響きます。この鐘は「自彊の鐘」といい、明治四十四年に制定された本校の校歌の一節「自彊の鐘は高鳴れり」という歌詞に由来してつくられました。三年間の高校生活の中では、くじけそうになる時、目標を見失いそうになる時もあるかもしれません。どうか、そんな時には校舎の中庭にある自彊の鐘の音を聞きながら、今日の日のことを思い出し、あせらずゆっくりと、もう一度歩み出してほしいと思います。

最後になりましたが、大阪府教育委員会 島 正子様はじめ、ご臨席賜りました来賓のみなさまに、心より御礼申し上げます。また、保護者の皆様には、今日まで、慈しんでこられた、お子様のご入学を、心よりお祝い申し上げます。私たちが大切に考えるのは、お子様のかけがえのない未来です。教職員一同、保護者のみなさまと心をあわせ、真の愛情を持って、きびしく取り組んでまいりたいと思います。また、お子様について少しでもご心配なことがありましたら、どうぞ遠慮なくご相談下さい。

新入生の皆さんには、今日の気持ちを忘れず、勉強に部活動に三年間で、存分に自分を伸ばし、たくましく未来を切り

拓く人へと成長されることを願い、式辞といたします。

 

平成二十四年四月九日 

大阪府立市岡高等学校 校長    前 比呂子