卒業式

3月7日(金)晴れ

66期生の門出を祝ってくださったすべてのみなさまに心より御礼申し上げます。 

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式辞 

66期生のみなさん、卒業ほんとうにおめでとうございます。

みなさんとは2年間のつきあいでした。それでも、部活動や行事の中でのリーダーシップ、希望の進路に向け自習室や面接練習やいろんなところで頑張っていたみなさんの姿が、しっかりと胸に焼き付いています。とりわけ部活動での成果はめざましく、近畿レベル、全国レベルの活躍で市岡高校の名を大いにあげてくれました。同時に、まもなく三年目を迎える東日本大震災で被災した子どもたちのための募金活動を、先輩たちから引き継ぎ、地域の中で絶やすことなく続けてくれたのもあなたたちでした。その活動もまた、後輩たちにしっかりと引き継がれていくことでしょう。

さて、みなさんは、グローバル化の中で社会の構造が大きく変わっていく不確実な時代を生きていかなければなりません。それは大学に合格しても、就職が決まってもそこがゴールではない時代です。そこで必要とされるのは、「学び続ける力」です。学ぶことで社会的な課題に解を見出していく力です。

そんな皆さんの門出に際し、ひとりの少女の生き方を通して学ぶことの意味、教育の意味について、ともに考えてみたいと思います。

 少女の名はマララ・ユスフザイと言います。私はシンフォニーホールで行われた八月の集会や、10月の後期始業式でも少し彼女のことを話しましたので、覚えてくれている人もいると思います。彼女はパキスタン北西部、アフガニスタンに近いスワート渓谷に生まれました。男性優位の部族の慣習が強い地域ですが、教育者である父の下、女の子も自由に生きるべきだと育てられて学校に進学します。2009年11歳の時に、地域は武装勢力パキスタン・タリバン運動の支配下に入り、学校は閉鎖。彼女は女子校への破壊活動など恐怖におびえながら生きる人々の惨状と女子教育の必要性、平和の必要性を、イギリスBBC放送のウルドゥー語のブログにペンネームで投稿し続けました。それはパキスタンの「アンネの日記」と呼ばれて、欧米から注目されるようになりました。タリバンがパキスタン軍の軍事作戦によってスワート渓谷から追放された後、パキスタン政府は彼女の本名を公表し、「勇気ある少女」として表彰しました。その後、彼女はパキスタン政府主催の講演会などいろいろなところで女子教育の必要性などについて語りましたが、この事によって命を狙われる存在となります。2012年10月9日通っていた中学校から帰宅するためにスクールバスに乗っていたところを複数の男に銃撃され、頭部と首に計2発の銃弾を受けました。生死の境をさ迷いながらも、奇跡的に一命をとりとめた彼女は、今家族とともにイギリスに移り、リハビリを受けながら学校に通い学び続けています。その彼女が、昨年の71216歳の誕生日に、国連で講演を行いました。この講演は世界中に配信され多くの人に勇気と感動を与えました。講演の一部、最後の部分を紹介します。

「親愛なる少年少女の皆さん、私達は何百万もの人たちが貧困、不正、そして無学に苦しんでいることを忘れてはいけません。何百万もの子供達が学校に通っていないことを忘れてはいけません。私達の兄弟、姉妹が明るい、平和な未来を待ち望んでいることを忘れてはいけません。」

「だから、闘いましょう。無学、貧困、そしてテロリズムに対する輝かしい闘争を行いましょう。私達にとって一番強力な武器である、本を手に取り、ペンを握りましょう。」

そして、最後のフレーズ、(今はあまりにも有名となった最後のフレーズですが)彼女はほんとうにこんな小さな少女のどこから?と思うような力強く自信に満ちた口調でこう結びました。

One child, one teacher, one book and one pen can change the world. Education is the only solution. Education first.

1人の子供、1人の教師、1冊の本、1本のペンで、世界を変えることができます。教育こそがただ一つの解決策です。教育を第一に。ありがとうございました。」

昨年11月、私は、ユネスコスクールの校長として、8カ国の高校生たちによるフォーラムに市岡高校の生徒や先生方とともに参加しました。その時、日本よりはるかにきびしい状況下にいるアジアの国の高校生たちが、それぞれの国の今の状態を少しでもよくするために、自分たちに何ができるのかを真剣に考え、そのことのために必死に勉強していることに胸打たれました。マララがその演説の中で「私はそのひとりにすぎません」と言ったとおり彼らもまたchange the world「世界を変える」ために必死に学び、行動していました。

これまでのみなさんの学びは、受験に向けて、知識を蓄積することでした。これからの学びは、違います。今の状況を少しでもよりよいものに変えるため、身につけた知識と能力を惜しみなく使って考えることです。正解のない問いに挑み続けることです。そして、そのために多くの人とつながり、力を合わせることです。それが生きることであり、成長することです。

皆さんの中には市岡高校の『自彊』の精神が脈々と息づいているはずです。自ら学び、学ぶことを通してまた、多くの人と出会い、つながり、「共に生きる」ための英知を寄せ合いながら、世界で、地域社会で、市岡高校の卒業生として、たくましく、誇り高く生きていって下さい。

最後に、本日卒業証書を授与したすべての人の未来が、幸せなものとなることを心より願って、お別れの言葉といたします。

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