72期生卒業式 学校長式辞

 桜の芽吹きに新たな春の訪れを感じる今日の佳き日、大阪府立市岡高等学校第72回卒業証書授与式を挙行するにあたりまして大阪府教育委員会 杉本嘉文様、同窓会長 佐藤充利様、PTA会長 柳川直紀様、教育後援会長 川口利子様のご臨席を賜りました上、多数の保護者の皆さまのご列席を得ましたことは、卒業生はもとより本校教職員一同にとりましても心からの慶びであります。高いところからではございますが、心より厚く御礼申し上げます。

 3年間の学業を修め卒業証書を授与された72期生の皆さん、改めましてご卒業おめでとうございます。私は昨年4月に着任した校長ですので、皆さんと同じ時間を過ごすことができたのは、この一年間だけでした。しかし、それでも私は校内校外でのいくつかの機会を通じて皆さんからたくさんの力と元気をいただいたと思っています。ありがとう。本当は3年前に出会ってそこから一緒に歩きたかった、そうすればまた違う今日があったかもしれない、そんなふうに思っています。しかし人と人との出会いには偶然性がついて回るところがあります。何故その日その場所で私たちは出会ったのだろう、考えてみても仕方のない事ですが、皆さんに巡り逢えてよかった、それだけは間違いのない私の気持ちです。

 さて皆さんは、高校の3年間を通じて学ぶことや生きることの基礎基本を身につけてきたわけですが、これからはその基礎基本をベースにして、今までよりもっと複雑で正解がよく分からない課題に取り組んでいくことになります。正解がよく分からないというのは、状況によって正解が変化する、現実とはそういうものだということです。正解がよく分からないのですから、ほとんどのことは自分の思ったようにならなくて、失敗を繰り返すことになります。ほとんどの大人の人生は失敗と挫折の繰り返しです。

 であるとすれば、私たちに必要な力は失敗をしない力ではなく、失敗しても立ち直る力。あるいは折れない心ではなく、折れても立ち直れる力だと考えるべきではないかと思います。状況が複雑で行き詰まっても「粘り強く復元する力」とでも言うのでしょうか。もちろん、そんな力が先天的に備わっている人もいます。それは自分ひとりで立ち直ることができる人で、世の中の成功者と言われている人たちに多いように思います。しかし、私たち多くの普通の人間にはそんな力は備わっていません。普通の人間が失敗から立ち直る力をつけようとすれば、失敗を重ねていくなかで何とか身につけていくしかありません。ですから怯むことなく挑戦と失敗を繰り返して、立ち直る力を身につけていってほしいと思います。

 ただ人間は弱い生きものです。あんまりにも叩かれ過ぎたり挫折し続けたりすることには耐えることができません。このとき必要になるのが自分を支えてくれる友達です。ですから、友達を大事にしてください。多くの友達を作ってください。それがこれからの皆さんを支え、立ち直る力を与えてくれるはずです。そしてこれからの「正解のよく分からない問題」に果敢に挑んでほしいと思います。

 結びになりますが、皆さんには3年間を共に学んできた友という大きな財産があります。人生に迷う時に振り返ることのできる市岡高校という心強いベースキャンプがあります。未来を創造する若さがあります。その自覚と誇りを持って、人生をしなやかにそして粘り強く主体的に生きていく。そして輝かしい未来に向かって益々精進されることを心から祈念いたしまして学校長の式辞といたします。

令和2年2月28日

大阪府立市岡高等学校長

岸野 圭吾

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