7/14 探究Ⅰ選択制講演会⑥「飢餓」

7月14日の15:15からは、「飢餓」についての講演でした。

講師の嶋さんは、高校生の時に「世界におなかをすかせた人がいるなんて信じられない!」との思いをもち、その後、NGO のスタッフとしてアフリカのソマリアで支援活動をされた方です。ご専門は、農業。現在もそうですが、「ソマリア」は内戦や紛争が続き、難民や貧困など問題を抱えている地域です。

嶋さんの団体は、そんなソマリアでの難民支援として、木を植える活動を行っていました。とはいえ、難民が暮らす砂漠地帯にはもちろん水がなく、まずは川から水を引くための水路を作るのですが、夜ごとに風で運ばれた砂が作ったばかりの水路を埋めてしまう......という状態だったそうです。それでも徐々に作物ができるようになり、トウモロコシが育った畑を見ると、「そういえば、食べものは誰かが作らなければ食べられないんだな」という、当たり前のことを改めて実感します。

そういえば、嶋さんのお話に、ひとつ興味深いものがありました。食べ物がなくて困っている人たちに対し、嶋さんたちは大根を育て、その葉っぱを調理する方法を伝えたそうです。しかし現地には「葉っぱ」を食べる文化がなく、せっかくの料理を誰も食べなかったそう。ちょっと聞くと「それだけ飢えに瀕しているのであれば、好みや習慣にこだわらずに食べればいいのに」と思うような話ですが、嶋さんによると「それが彼らの食文化なので、尊重すべきなんだと実感しました」ということです。

そんな嶋さんは、ソマリアでのカルチャーショック体験をもとに、「多様性」について、「みんな『違うんだ』ということを受け入れることが大切だと思います」とおっしゃいます。「現地に行ってしばらくは、自分たちとのあまりの違いに、ソマリアの人に対してイライラしてばかりだった。でも、同じだ、と思うとしんどくなるけど、何か月かして『そもそも違うんだ』とわかってからは、彼らのことが大好きになった」というお話は、今後ますます多様化していく社会において、とても重要な示唆であるように思います。

最後は、いつものように質問タイム。参加者の1年生は、大勢の前で自分の質問をする経験もまだまだ少ないのですが、この講演では特に、質問によってお話が深まるような、良い質問をする人が多かったように思います。もちろん終了後にも、何人もの人が嶋さんに個別にお話に行っていました。

嶋さん、ありがとうございました!!

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