CareからCure

2024年の年始より災害等で心を痛めており、関係の皆さまにお見舞い申し上げるとともに「生きる」ということに懸命に力を尽くされている方々に心より感謝申し上げます。

 昨年の年末に、のどの手術をしました。医師、看護師、薬剤師、栄養士、様々な方々にお力添えいただき無事に退院することができました。手術直後は全身麻酔から少しずつ意識が戻って来る中、寄り添ってくれる看護師さんの声掛けのおかげで、手術室の中で見た眩しい光とは違うやさしいカーテンの色が目に入り、病室に戻ってきたことに安堵感を覚えました。人工呼吸用の器具や点滴いろんなものが自分を生かそうとしていることへの感謝、血圧が高いことを除けば良好な術後だったようです。

 とにかく声を出してはいけない。完全沈黙療法ということで、呼びかけがあっても反応してはいけない。「ありがとう!」この一言が言えないのが、一番つらい。看護師さんが体調を気遣い、来てくれる度にかけてくださる言葉に「ありがとう」。担当医さんからうまく除去できたというご報告いただいたときにも「ありがとう」。朝食、昼食、夕食を作ってくださる調理の方への「ありがとう」。配膳してくださる方、お掃除してくださる方、その度に「ありがとう」を告げ、触れ合う方、皆さんが指を口にあてがいその後、両手をクロスした。看護師さんが去り際に必ず「また来ますね」と言ってくれる言葉にただただ合掌した。

 Live―生きることは本当に大変だ。「あたりまえ」は本当に「ありがたい」ことだ。そしてそれを伝えられるということは本当に幸せだということにあらためて気づかされた日々であった。この一か月は大きい声、ささやき声、一日15分以上は話をしないようにと主治医の方から告げられた。守らなければならない、そしてかなり難しい指示だ。「生きる」ということに向き合う1年として61年め、2024年をスタートすることになる。

 「誰かのために」だけが原動力の私にとってベッドの上でできたことは折り紙のみ。看護師さんが首をかしげ、不思議そうに見ていました。出来上がったカンガルーを見ながら何かを尋ねたそうにしていましたが、沈黙療法のためお伝え出来ませんでした。

 76期生のみなさん、もし皆さんの「生きる」ことに役立てるのであればぜひ校長室にお越しください。色とりどりのカンガルーがお待ちしています。無事に受験が叶い、夢への第一歩が踏み出せますように!