申し上げます!

 もう10年以上前、以前勤めていた学校での話だ。センター試験だったころ、国語(現代文)や数学ⅠA、ⅡBの難易度が毎年異なり、その上下動で多くの生徒の心が乱れた。ある年、初日の現代文が非常に難解で大きく明暗を分けた。ある生徒は、もうこれではどうにもならないと次年度にかける決意をして経験のためだけにこの二日間を費やした。もう一方、自分はできるだけの準備をして臨んでいる。だから、苦戦しているのは私だけではなく、周りの生徒もできていないかもしれない。やれるだけのことをやって残りのテストにもベストを尽くそうと決めた。                                    

 後者はこの年に、前者は次の年に志望校に合格した。善悪や可否を論じたいわけではない。入試、受験はどこで何があるかわからない。その時に起こる自分の気持ちが自分自身を奮い立たせるのである。後者の生徒は一週間前に自分の心の様子を伝えに来て言った。「ものすごく緊張をする。そして自分の力がわからない。不安がいっぱいで壊れそうだ。」私はしっかりと向き合って、「あなたはこれ以上ないくらいに努力を積み重ねてきた。自分を信じること。最後の瞬間まで伸びる。もしかしたら試験を受けているその最中も伸び続ける。」という言葉を手渡した。「自分を信じられるキーワードがあればいいね。」という言葉を添えた。

 試験当日、着席して問題用紙等が配られるまでの間、お世話になった人を一人ひとり思い浮かべながらお礼の言葉を言い続けた。そして、多くの人から力をもらっていることに気づいた。周りの人への感謝の言葉が、自分を信じること、自信につながった。

 人が言うと書いて「信じる」、人が申すと書いて「伸びる」、人が云うと書いて「伝える」明日受験の76期生、再挑戦する75期生のみなさん、皆さんを心から応援してくれている人がいます。多くの人の思いと力を携え、試験に臨んでください。そして何より自分を信じること、それさえできれば力を出し尽くすことが可能です。

 明日は、前にしか進めないカンガルーと一緒に頑張る受験生を応援しようと思います。この想いどうか届きますように!