もう30年以上前の話。初任校で勤めていたときにハードルの選手が1台目から3台目までをいかにうまく駆け抜けられるか、来る日も来る日も練習していた。100分の1秒でもタイムを上げるために抜き足の角度、リードの手、3歩のリズム、体重移動について何度も話し合いを繰り返し、自らも抜き足のぎりぎりを示しながら、練習後は腫れたくるぶしの大きさを選手と顧問で競い合った。
整地はもちろん選手がやるのが常であったが、時に、特に踏み切る場所は顧問も入念にトンボをかけた。地面を整えながら、心を整えた。地面の凸凹が平らになるのと同じように心の波が静まった。今、思い出しても整地されたあのハードルの走路は、生徒の青春の一ページ。今は見ることのできないハードラーが降り立ったまさしく聖地だ。
茨高の聖地を見た。雨で水浸しのコートがこんなにきれいに整うんだ。来週はテストウィーク。聖地、整地を待つ。