商店街が好きだ。まちづくりの授業で映像が作られたー阪急本通り商店街―がスタートだったのだろうか。各商店がいろいろなものを売っている。食べ物、衣料品、(古)本、価格も思い思いだ。商店街をどんどん歩き、とりわけだんだんと人の数が減っていくところから魅力が増す。共感はしてもらえないだろうが、京都なら新京極よりも寺町、神戸なら三宮よりも元町、大阪天神橋筋なら天六より天三、天二、天一。派手さが薄れ、渋さが光る。そして明りは少し弱くなるが、道は比較的広くなり、気持ちよく歩けるようになる。家族連れも気兼ねなく自分の歩幅で歩ける。乳母車に乗っていた女の子が、歌を口ずさむ。突然振り返り、車を押すお父さんに"♪Happy Birthday To You♬"と叫ぶ。道行く人は、2回めの子供の歌に合わせて手拍子をした。お父さんは少し照れ臭そうに、周りに会釈した。
商店街が好きだ。ありのままの個性が溢れ、道行く人もありのままだ。
※聞こえた音通りにカタカナ表記すると「ハ~プィバースデーチュウユー」だった。みんな思わず手拍子し、拍手したんだと思う。みんな笑顔だった。お母さんははにかみ、子供は得意げに、前へ向き直り、ドンっと音がするくらい勢いよく座った。