1年のはじまりです ②入学式

午後からは入学式。4月1日のオリエンテーションで多少学校には慣れたのでしょうけれど、それでも緊張感がいっぱいの一日。抜けるような青空のなか、新入生と保護者がやってこられます。あちらこちらの記念写真スポットで写真を撮る姿がちらほら、と思っているとあっという間に行列ができていました。保護者の方と新入生の晴れやかな表情がそこここに見られました。式辞でも申し上げましたが、喜びいっぱいのこの日は、さらなる高みに駆け上がるためのスタートの日。「勤倹力行(きんけんりょくこう)」「質実剛健」「以文会友」を旨として、時に悩みながらも、のびやかで健やかな3年間を過ごしてもらえれば、そのために私たちも全力でサポートしていこうと思います。以下、入学式の式辞です。最初の一歩をふみだす1年生のみなさんに贈る言葉です。


(以下、入学式式辞)


さまざまな桜が咲き誇り、春の訪れを日々確実にしてくれるこの佳き日に、大阪府立茨木高等学校、第八一回入学式を挙行しましたところ、公私ご多用のなか、PTA、後援会の各ご代表のご来賓の方々にご臨席を賜り、入学生の前途を祝福していただきますことに、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございます。皆様には今後とも、本校の教育に対しまして暖かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。
ただ今、入学を許可しました三二〇名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。教職員を代表して心からお祝いを申し上げます。

本校は、明治二八年に、大阪府第四尋常中学校として創立され、今年で創立一三一年目を迎えます。本校の初代校長、加藤逢吉(かとう ほうきち)先生が定められた校訓「勤倹力行(きんけんりょくこう)」と「質実剛健」の校風は、現在までしっかりと引き継ぎ、受け継がれています。

また、本校では、今、ご紹介した「勤倹力行」「質実剛健」の伝統のもと、三つの教育目標として、「高い志の涵養」「枠を超える知性を備えた真のリーダーの育成」、「自主自律の精神の育成」を掲げ、高校生活の中で生徒の皆さんが「本物に触れること」「多様性に富む、様々な年代の個性豊かな先輩方の背中を追いかけること」「未知なることに興味を持ち、問いかけることで互いに切磋琢磨すること」、そのためのきっかけを準備し、様々に取り組んでいます。皆さんも、本校の伝統である「勤倹力行」「質実剛健」の姿勢を保ちながら、常に「高い志」を抱き、日々の努力を重ねて学校生活を送ってもらいたいと思います。

それでは、本日、茨木高校の生徒として新たなスタートを迎える皆さんへのメッセージを贈ります。そしてそれは同じく新たにこの学校にやってきた私自身にも課したいことです。
それは、丸いかたちを表す「円」についてです。「円」は、みなさんもご存じの通り、平面上の定点からの距離が等しい点の集合でできる曲線のこと、と定義されています。このかたちについて、古の人たちは決して途切れることのない連続性、永遠、悟り、真理、安心感、などといったものを表していると考えました。かかわりのあり方の一つの理想として「円満」と言い、成長のあり方の一つの理想として「円熟」と言い、「円」ということばで、人間の一つの達成を表そうとしているのかもしれません。
でも、いま私たちがいる茨木高校は、その円を拒否して言います。

「円くなるな、無限であれ」。

これは厳しい呼びかけです。安心するな、悟るな、とどまるな、と言っています。
私たちは、皆さんに、身につけるべき莫大な知識を伝え、答えのない問いを投げかけるでしょう。
そして、みなさんは、そのなかで、さまざまな経験をすることになるでしょう。

学ぶこと、考え抜くこと、学び合うこと、
つつましくあること、せいいっぱい力を尽くすこと
剛(つよ)く、健やかであらんとすること、
友と会うこと、おもんばかること、
仲間を率い、ゆだねること、支えること、苦楽をともにすること、
そのなかで、自分自身をかけがえなく感じ、いつくしむこと、

本校のある卒業生が、茨木高校を評して、「贅沢なノイズがあふれている」と述べています。この学校で経験する、円く閉じることのない、あふれんばかりの贅沢な営みが、みなさんの先輩方がそうであったように、みなさんを無限の高みに導きます。
今ここにいるみなさんは、今日から茨木高校生です。が、「茨木高校をする」のはこれからです。「茨木高校をする」、とは何かをともに考え、

「円くなるな、無限であれ」

ともう一度、投げかけます。枠を超え、無限へ向かう道をともに歩んでまいりましょう。

さて、保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。ご臨席の保護者の皆様の晴れやかな気持ちが伝わるこの日は、お子様がさらなる高みに駆け上がるためのスタートでもあります。
本校が掲げる「自主自律の精神」の下で、お子様が自ら考え、自ら行動できる「生きる力」を育んでいくにあたり、保護者の皆様に、お願いがあります。
お子様は先に述べたような茨木高校の高校生活の中で、さまざまな問いに出会い、時に悩み、立ち止まります。もしかすると、驚かされるようなお子様の揺れやつまづきに出会うこともあるかもしれません。
しかしながら、そうした揺れやつまづきを、仲間や大人の助けも得ながら一つ一つ越えていくことが、保護者の皆様や私たちもそうであったように、奥行きのある剛さと健やかさを育むと考えています。
私たちはご家庭の宝物であり、世の中の宝物となるお子様をお預かりするにあたり、学校とご家庭が思いを共有し、ともに協力し合い、子どもたちに接していくことが、極めて大切であると考えています。
どうか本校がその時々の生徒、保護者の皆様とともに築き上げ、育んできた伝統ある教育方針を十分ご理解いただき、保護者の皆様のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

新入生の皆さん、私たち教職員は、皆さん一人ひとりが持っている志をさらに高めていけるよう、全力でサポートしていきます。
みなさんの歩む無限への道は、時に険しく、「茨」の道かもしれません。
でも、絶対に忘れてほしくないことは、問いに出会い、悩んでいる皆さんを、私たちや、保護者のみなさま、茨木高校に関わるみなさま一人ひとりが、大きな「木」として、時に背もたれになり、時には強い日差しをさえぎる日陰をプレゼントしながら、いつもどこかで見守っているということ、支えているということです。ぜひ、心に刻んでおいてください。

今日から始まる皆さんの自主自律の高校生活が、自分の無限の可能性を発見し、枠を超えて、高い志につながっていくものになることを願い、私の式辞といたします。

令和八年四月八日 
大阪府立茨木高等学校 校長 塩山 清隆

(式辞、ここまで)

一人ひとりにとって、大きな意味のある3年間となりますように!