柴崎友香さんの芥川賞受賞パーティーに出席しました

 9月13日、東京市岡会主催で柴崎友香さんの芥川賞受賞を祝う会が催されました。私も出席させていただきました。会には、総勢31名の方々が出席されました。大阪からも4名の方々が出席されていました。

 市岡高校の卒業生が、芥川賞を受賞されたということで、受賞作品の「春の庭」が出版されてすぐに購入して読みました。今まで私が読んでいた小説のジャンルとは全く違う小説なので、柴崎さんの小説の世界がすぐに頭の中には入ってきませんでした。「これはだめだ」と思い、彼女の作品を8月だけで一挙に7作品読みました。読んだ作品をあげると、「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」「フルタイムライフ」「その街の今は」「また会う日まで」「主題歌」「60の半分」「寝ても覚めても」です。ここまで読んで、彼女の世界がなんとなく自分なりに(あくまで自分なりにですが・・・)頭に入ってきた感じがしました。彼女の作品のキーワードは、アルバム・写真・カメラ・・・など。これは彼女が大学時代に写真部に所属していて、今も写真が趣味であるということと密接に関連しているように思います。

 彼女の小説は、カメラのファインダーから覗いた世界、映像の世界を言葉にした小説のように感じました。小説に登場した人物がみた風景は、ほんとに詳細に描かれています。逆に心理描写が極端に控えられている。だから、余計に読者の想像力をかきたてるように思いました。

 私はこんなことを感じました。

 「春の庭」の主人公は30代の男性で、準主役の女性も年上の30代。彼女の過去の作品からみると、久方ぶりの男性、それも30代の登場です。私が読んだ彼女の小説のほとんどは、20代前半から30歳くらいまでの女性の方が主人公でした。その若い女性の主人公たち、そして周りの登場人物の境遇は、会社をリストラされて次の職を探すまでのアルバイト店員であったり、派遣社員であったり、大学を出ても停職につかずにアルバイトをしている青年であったり、事務所が統合縮小したために引っ越ししたり・・・。この彼らの境遇というのに、多くの言葉は費やされていません。ほんと、一言だけさらっと触れられている。そして柴崎さんの目は、彼らの日常の生活を丹念に言葉にしていきます。それゆえに彼女の小説には「失われた20年」のなかで、生きていく若者たちの姿が描写されています。漠然080(圧縮)s.jpgとした将来の不安を口にもせず、コンサートやファッションブランドに興味を持ち、友達との時間を過ごしていく・・・、将来のことを語っても、そこに何ら実現する可能性なんてないよとでも言いたいのか、彼らは日常を生活している・・・、そんな若者たちの姿が印象に残ります。私には柴崎さんが芥川賞受賞までに書いた小説は、「失われた20年」を描写した青春群像のように思えました。これから、柴崎さんはどんな世界を描いてくれるのでしょうか・・・。とても楽しみですし、次回作が待ち遠しいです。