理系?文系?

 面白い記事を見つけました。中央公論10月号です。「理系」『文系」について、「『文系』『理系』の埋まらぬ溝」という特集記事が組まれていました。今、市岡高校も丁度科目選択の時期です。将来のことを考えて、「理系?文系?」を考える時期なので、何が書かれているのか興味があったので読んでみました。

 まず是非読んでほしいのが、福岡伸一 青山学院大学教授へのインタビュー記事です。福岡教授は、1959年生まれ、京都大学農学部出身。「生物と無生物のあいだ」というべストセラーがある教授です。インタビュー記事の題は、「『文系なのでわかりません』は通らない」という題。インタビューは全部で12あります。インタビューの中で理系教育の特徴など、おもしろい視点がわかりやすく述べられているので一度参考にしてください。一番、教授が言いたかったのは、次のことではないかと思います。少し引用します。

 まず、日本の教育制度が、かなり早い段階で(中学や高校レベルで)、文系向き、理系向きという区分を作って仕分けがなされてしまっているということに大いなる問題だと思っています。

 中学・高校レベルの数学や物理の成績や好悪だけで、若い知性の芽が摘み取られるのはたいへん不幸なことです。いわゆる文系学部の学生の中にも、理系的センスが優れている人をたくさん見かけますし、この逆もいえるでしょう。(中略)

 そして、高々、現在の日本の大学教育レベルを終了しているだけで(しかもいい加減に)、出身学部の区分けをもとに自分は文系、自分は理系、というのはなかなかきびしい、というかおこがましい主張だと思われます。

 大学修了程度で学べることはたかが知れています。本来、誰もがすべてひととおり学んでおくべき基礎学力であると思います。それさえも日本の文系・理系制度のもとでは、片方の領域が互いに欠落しているわけなので、それは理系・文系と呼ぶべきものではなく、いずれかの領域を決定的に勉強不足の状態のまま社会に出ているということを表明しているにすぎません。

いかがですか?福岡先生、なかなか手厳しい。要するに、自分の勉強不足を棚に上げて、理系だ、文系だと言うんじゃないよ、ということ。大学修了程度でさえそうなんだから、高校時代に偏って勉強しているようでは、ダメだということです。私は数学の教師なのであえて数学について言わせてもらいます。1年生の皆さん、大学進学を考えているなら(国公立や私学関係なく)数学Bは必ず選択すべきです。ベクトルや数列の事を知らずに「大卒ですっ」ということが信じられません。それは、中国の古典や日本の古典を知らずに社会に出ることも同じだと思います。大事なのは、基礎教養、リベラルアーツです。これが将来の力のもと、厳しい世の中を生き抜く力の源泉になると思います。

 今、経済学部をめざしている人、大竹文雄教授(大阪大学)の「経済学は本当に文系なのか」の記事も面白いです。是非読んでください。

高校時代の学習は、幅広く!自ら選択の幅を狭めない!このことを心がけてください。

 

 

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