知的関心について

 11月13日の6時限と7時限、1年生・2年生ともに外部講師を招いての総合学習が行われました。1年生から紹介しましょう。

 1年生では、総合的な学習の時間に「国際・人権」をテーマに今後学習していく予定です。その最初の企画として、外務省の方をお招きして「世界の多様性」について学習を行いました。講師として来ていただいたのは、外務省総合外交政策局国際機関人事センター課長補佐の仁田英伸氏です。仁田氏からは外務省の仕事であるとか、スペイン留学時の話、中南米での勤務の話などを交えながら、まさに「世界の多様性」についての話をしていただきました。ここからは校長室での仁田氏との会話です。私から「どんな仕事を外務省でなさっているのですか?」と尋ねたところ「国連で働く日本人のお世話をするような機関ですね。ところが国際機関で働いている日本人の数は、欧米に比べて少ないんですよ。お金はたくさん出しているんですけどね」という、お答えが返ってきました。どうしてそんなに少ないのか?という疑問が湧くのは当然です。仁田氏によると「一つは、言語、やはり日本人は英語に弱いということ。それともう一つは、労働慣行が欧米と日本とでは違うということ」です。国際機関では、中途採用しかしない、3年をサイクルに入れ替わるということが主なので、企業の転職をキャリアアップとしてとらえる欧米の労働慣行では、国連機関での勤務もキャリアアップの一つであるということです。ところが、日本では崩れてきたとはいえ終身雇用制がまだ残っている(制度で残っているというよりは、働く者の中に意識として残っている)ので、ステップアップに国連機関で働くという踏ん切り(冒険?)がなかなかできないのではないかということでした。ここからは、私の感想ですが、良きにつけ悪しきにつけグロバール化は益々進んでいくと思います。その中で、日本の労働慣行もどんどん変化していかざるを得ない。市岡の生徒たちが社会人になるころは、その流れは加速度的に進んでいると思います。できれば、市岡から国際機関で活躍する卒業生が出てくれればありがたいな・・・。そんなことを思っています。

 2年生は、大学の模擬授業体験です。全部で19の講座に分かれての体験です。たとえば、こんな感じです。

  心理・・・同志社大学 心理学部青山教授

  経済・経営・商学・・・大阪市立大学 経済学部 大島教授

  教育学・教員養成・・・奈良教育大学 豊田教授

  理学・生命学部・・・大阪府立大学 久保田教授

  工学・・・徳島大学工学部 高柳教授

 さて、大学の模擬授業を受けてどうだったでしょう。私も少し覗いてみましたが、お話していただいている内容は、学問の領域の「ドアに触れる」という内容です。皆さんに興味を持ってもらえるような内容だったと思います。だから、これで「なーんだこんな勉強か・・・」と思ったら絶対ダメです。学問はそんなものではない。大切なことは、自分で調べること。今は、調べる方法はいくらでもあります。スマホは、LINEのための機器ではありません。しっかり、自分で調べて自分のやりたいことを学べる、研究できる大学を探してください。そして学部を見つけてください。学部だけでなく学科や研究室、教授を見つけてください。そして、それを来年の科目選択に活かしてください。それが大切です。単位制のモットーは、「進路選択は、科目選択、科目選択は進路選択」です。そして科目選択は、ミニマムではなくマックスで選択すること、それが原則です。

 

 さて、タイトルの知的関心についてです。今日の二つの企画とも受け手の生徒たちに関心がなければ、話は頭の上を素通りしてしまう内容です。いくら貴重な話でも受け手のほうが、アンテナを立ててしっかり受信しなければ意味がありません。そのアンテナの名前が「関心」です。大学進学を希望している君たちには「知的関心」という名前のアンテナが必要です。スマホや携帯電話のようにちゃんとアンテナが4本立っていないと「情報」は受け取れないのです。

 今、私は授業見学をしています。市岡の先生の授業はとても面白い。扱っている教材もとても面白い。英語の授業は、当然英語の力を付けることが目的ですが、使われている内容がとても興味深いのです。だから、英文を読み、訳されていく内容を聞いていると「おもしろいな・・・」とつい聞き入ってしまいます。国語の俳論の授業を聞いた時も、今まで知っていた芭蕉のことがどんどん深く理解されていくのです。知っている知識と知識が結びついて新たな認識が深まっていく、そこに知らない知識が組み込まれてくるから、私の頭の中のシナプスは刺激でとても喜んでいるのです。そこで授業が終わって隣にいた生徒に「この授業おもしろいな!」と声をかけたら、「?」という反応でした。「おもしろいでしょ?」と言いなおすと「そうですか・・・、少し難しすぎて・・・」という反応。英語の授業では、少し時間が余ったので担当の先生からコメントを求められました。私は教材のおもしろさ、考えさせられる内容であることを話しました。それで担当の先生は、生徒に「どう?おもしろい?」と聞くと、「?」、「おもしろいですか?」という反応です。私からすると違和感が残る生徒の反応でした。「なぜだろう?こんなにおもしろいのに・・・」と思ってしまいます。

 生徒のみなさん、もっと知的関心を持ちましょうよ。せっかくこれだけ情報をたやすく取得できる世の中なのだから、もっと貪欲に知識に関心を持ちましょう。それがリベラルアーツにつながると思います。LINEにスマホを使うのもいいですけど、ニュースも読みましょう。世の中のことがわかれば、これほど楽しいことはない。もっと知識に貪欲になりましょう!