第67回卒業式が挙行されました!

 本日3月6日10時より本校体育館で第67回卒業式が挙行されました。吹奏楽部の演奏で3年が入場です。二部の卒業生を祝う会での「卒業生の言葉」が終わった後、卒業生全員が起立をし、「仰げば尊し」を合唱しました。プログラムにはないハプニングです。私が、最後に仰げば尊しを卒業式で聞いたのはいつなのか、もう思い出すこともできないほどの昔です。卒業生全員で歌う「仰げば尊し」には、感動しました。

 「卒業生の言葉」には、感謝が満ち溢れていました。友への感謝、先生への感謝、そして何よりも今まで育ててくれた親への感謝です。今日の体育館には、卒業生たちの感謝の思いでいっぱいだったと思います。伝統校らしい素晴らしい卒業式でした。最後に本日の卒業式の式辞を掲載します。

 

大阪府立市岡高等学校

第六十七回卒業証書授与式  式辞

 

 ひときわ厳しかったこの冬の寒さの中に、確実に春の兆しを感じる今日、大阪府立市岡高等学校第六十七回卒業証書授与式を挙行いたしましたところ、大阪府教育委員会ご代表 喜多 英一様をはじめ、府議会議員三田勝久様、地域の小・中学校の校長先生方、また、同窓会、PTAのみなさま、さらには本校卒業五十周年を迎えられました十七期生の皆様方など、多数のご来賓の御臨席を賜りました。高いところからではございますが、厚く御礼申し上げます。

 

ただいま、314名の皆さんに、卒業証書を授与いたしました。

保護者の皆様方には、お子様が、本校での課程を無事修了され、本日の晴れの卒業の日を迎えられましたこと、さぞ、お喜びのことと存じます。

教職員を代表し、心からお祝い申し上げますとともに、本校にお寄せいただいたご理解とご協力に対しまして、深く感謝を申し上げる次第でございます。

 

さて、六十七期生のみなさん、卒業、おめでとうございます。

みなさんにとっては、ついこの間、市岡高校の門をくぐったという思いがあるのではないでしょうか。

皆さんは、教科の学習はもとより、ホームルーム活動や部活動、学校行事等を通して、友人や先生と交流を図り、多くのことを学んだことでしょう。

皆さんは今日を境に、それぞれの道に進んでいくわけですが、高校生活で学んだことを糧として、確かな足取りでこれからの人生を、歩んでほしいと思います。

それでは、卒業にあたり皆さんの前途を祝し、私の思いを述べさせていただいて、贐の言葉にしたいと思います。()

 

 日本アカデメイアという組織があります。アカデメイアとは、古代ギリシアの哲人、プラトンがアテナイの郊外に開設した学園の名です。日本アカデメイアは平成24年に発足した組織で、経済界、労働界、教育研究機関、学識者など問題意識を共有する国民各界の心ある方々が結集された組織です。日本アカデメイアは「困難な時代に立ち向かう日本社会の精神的エネルギーと人材をいかにして活用・涵養するかは、いまや喫緊の課題である」という危機感で結集しました。その日本アカデメイアが、平成27年2月5日に「戦後70年 我々が次の世代に残すべき日本の姿-余剰幻想を超えて」という提言を発表しました。

 

 「余剰」とは、余りを示す言葉です。余剰幻想とは、何か。1960年代から1980年代の輝かしい経済成長の時代によりかかり、過去の考え方、過去の生き方、過去の働き方のままに、将来を描き続けようという根深い体質であると提言は指摘しています。今、日本が抱える課題は深刻です。超がつくほどの少子高齢化、労働人口の減少、中央・地方に累積する膨大な公的赤字、深刻化する経済格差。そして世界に目を向ければ、1989年にベルリンの壁が崩壊し冷戦が終結してから、今の様な世界情勢を誰が予想したでしょう。国境を越えて絡み合うグローバル化は、日本を否応なく世界が直面する課題に巻き込んでいきます。

 

 提言には、「2030年の日本の自画像」が描かれています。2030年、ちょうど今から15年後、君たちは、30歳を少し超えた年齢です。その時には、君たちは仕事も一通り覚え、若手中堅として働いているかもしれません。結婚をし、家庭を持ち、子どもを育てているかもしれません。

提言では、「品位ある社会」「尊厳を以て生き、生を全うさせるような社会」「世界の中で誇り高く、強く、存在感のある日本として生まれ変わる」と2030年の日本を描いています。

 

 このような日本に至るためには、相当な困難が予想されます。また、相当な試練が予想されます。しかし、今のままの日本では、早晩ジリ貧状態になるのは目に見えています。なんとしても、「余剰幻想」を断ち切り、新たな日本を創世しなければならないのです。そのために、私は、日本を担う次世代の君たちに次の言葉を送ります。「クリエイティブに変革しろ!」です。

 

 もう日本の社会は制度疲労を起こしており、日本のあらゆる分野で新しいシステムを生み出さなければならない。その為に「クリエイティブに変革しろ!」ということです。漫然と過去の考え方、過去の生き方、過去の働き方をしていては、君たちの人生はどこかで行き詰まってしまうのではないか、そんな危機感をわたしは持っています。創造力こそ、君たちが身に纏う鎧であると思います。変革こそ君たちが手に持つ武器であります。

 

「種の起源」を記したダーウィンは次のような言葉を残しています。

 

最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。

唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。

 

君たちが生きていく社会も、変革が求められているのです。創造力をもって変革していくことこそが生き残る術なのです。

 

創造力を持つためには、幅広い教養と学び続ける精神が必要です。人類が積み上げてきた英知を学び続けることが必要です。新たな価値観は、突然生まれるものではありません。過去からの積み重ねの中から生まれてくるのです。そして何よりも大切なことは、世の為になる、人の為になることは何かを見抜く目です。この目がなければ、せっかく創造した価値やシステムもやがて廃れるでしょう。そんな目をもち続けてください。

 

ただし、このことも君たちには伝えたい。クリエイティブに変革する生き方は、並大抵の事ではありません。その道は失敗の連続かもしれません。人生に躓き、どうしようもない壁にぶつかり、八方ふさがりで、先が見えなくなったら、自分だけで悩まないでほしい。君たちのそばには必ず家族がいます。そして市岡で共に学んだ友人がいます。そして、恩師がいます。市岡高校があります。市岡高校は、君たちにとっていつでも帰ってきてよい故郷なのです。そのことを忘れないでください。

 

最後に、君たちの中には市岡高校の『自彊』の精神が脈々と息づいています。市岡高校の卒業生として、たくましく、誇り高く生きていって下さい。本日卒業証書を授与したすべての人の未来が、幸せなものとなることを心より願って、贐の言葉といたします。

                 

平成二十七年三月六日

                                      

     市岡高等学校校長    上野 佳哉