私の通っていた高校は兵庫県の山の中にある小さな学校で、普通科と林業科がありました。林業科のある高校は珍しいのですが、それだけ山の中にあるということで、学校が単独で使える実習林もありました。そこは山間を開いて造成された長細い土地でしたが、同時に県営キャンプ場も併設されていました。要するに実習林内にキャンプ場もあって、生徒が夏休みにそこで1週間、野外ボランティア活動のリーダー研修をするという取組みをやっている学校でした。
私も1年生の時に参加したのですが、来るのは大阪や神戸といった都会の小中学生。テントの張り方を教えたり、火の起こし方や飯盒炊飯を教えたり、夜になったらキャンプファイアーのリーダーになって盛り上げたり、その時はあまり意識していませんでしたが、今にして思えばまさにボランティアでした。また、キャンプ場の保守点検もワークでしたので、キャンプ場の清掃、下水・残飯処理、テントや備品の補修などもルーティンでした。
結構大変でしたが、やはり結果として、多くの小中学生から「ありがとう」「楽しかった」と言ってもらえるのがとても嬉しくて人間が太くなる実感がありました。この感覚が私のボランティア活動の原点です。ボランティアというと何となく最初は照れくさかったりするのですが、多くの小中学生や先生方と楽しい時間を過ごしつつ、自分でも驚くほど、初めて会う人とのコミュニケーション力がついたように思います。
ボランティアは自発的に誰かの幸せのために金銭の見返りを期待せず何かをすること。お金はもらえませんが、得ているものはそれよりもずっと大切なものだと思います。そして、そこさえ身についていれば、周りの人から信頼され、黙っていても後からお金はついてくるように思います。