選手権に向けて②

僕にとって最後の選手権がすぐそこにまで迫っている。

今まで当たり前にあったサッカー部での活動も残り少なくなっていることへの少しの寂しさや不安があるが、それよりもこのチームで最後の戦いを迎えられることへの喜びのほうが大きい。

この最後の1年間は嬉しいこと、楽しいことよりも苦しいことのほうが多かった。 今年のインターハイの初戦で僕は怪我をしてしまい、J-Greenのピッチに立つことが出来なかった。

チームが私立強豪と戦っている中でベンチに座って試合を見ていることしか出来ない自分に心の底から失望した。

それからもずっと辛い日々だった。復帰したのは良いものの、今まで通りに身体が動かず、上手くボールを扱えない。自分の身体ではないような感覚だった。

苦しい日々が続いてサッカーを諦めようという考えも頭によぎった。長いサッカー人生で最も大きな挫折であった。

ただそれでもサッカー部を辞めようとは1度も思わなかった。それはこれまでの3年間でサッカーを通じて多くのことを学び、たくさんの人のお世話になったから。その人たちへの想いが僕が頑張る原動力になった。

何を聞いても答えてくれ、失敗したらちゃんと叱ってくれる先輩方。生意気ながらも頼りない76期についてきてくれた後輩たち。いつも相談にのってくださる先生方。そして衝突を繰り返しながらも一緒に頑張ってきた同期。

サッカー部に所属している人達だけではない。いつも応援してくれる友達、これまでサポートしてくれた家族。お世話になった多くの人がいたから僕は自分の信念を貫き通すことができた。

何か恩返しをしたい。そんな僕にできることはチームの勝利に貢献すること。選手権がラストチャンスだ。今まで自分が助けてもらった分を今度は僕が助けたい。

選手権は特別な舞台だ。どれだけうまくいっても、しんどい時間が必ずある。そのときに僕が誰よりも頑張れると怪我も意味のあるものになる。

この大会でやり遂げなければ一生後悔する。チームを信じて、自分を信じて骨が折れてもやり遂げる。
3年プレーヤー O
掲載:顧問浅田