【140】 終業式

  • まさに春を感じさせる陽気の今日(3月20日)は、後期終業式でした。
  • 式辞として私から生徒諸君には、45期生の卒業式(2月28日挙行)の様子を話し、3年生からのメッセージとして答辞の内容を紹介しました。その内容とは、

「体育祭。全員をまとめるのは大変だった。団員や実行委員と力を合わせて設営、運営し、携帯電話の使用に 関する改革も行った。正直、うまくいかないこともあって辛いこともあったが、見てくれる人の歓声や団員からの感謝を受けて、終わった後は達成感と感動で涙が止まらなかった。」

「文化祭。夏休みは毎日のように集まって、小道具から衣装まですべて自分たちで用意した。誰か一人だけが頑張ったのではなく、全員でやり遂げた。この経験はこれからの人生に生きていく。」

「部活動。自分自身、一番多くの時間を費やしたのが部活。支え合った仲間との思い出はかけがえのない宝物。体力だけじゃなく人間的な面でも成長できた。」

「明日から、混沌とした時代を生きる私たちだからこそ、十八歳の今、感じている希望や憤りを忘れずにいたい。自分で決めて行動を起こす。そしてそこに責任を持つことを、堺東で培った。人生の最良の時は、これからの未来にあるはずです。」

  • 在校生諸君には3年生からのメッセージをしっかり受け止めて貰えればと思います。
  • 終業式では紹介しませんでしたが、卒業式での私の式辞の一部も、ここに掲載させて頂きましょう。

************

 ただ今、卒業証書を授与しました、第四十五期生、267名の皆さん、卒業おめでとうございます。喜びと共に、多くの人々への感謝の気持ちが沸き上がっていることでしょう。家族の方や友達、3年間皆さんを見守り続けた先生方など、多数の方々への思いを心に留め、そして出来ればその思いを直接相手に伝えて貰えればと思います。

 喜びと感謝の気持ちに包まれながら、今は3年間の様々な思い出が頭に浮かんでいるでしょうか。合格発表のシーンから、初めてのホームルーム、クラブへの入部、遠足、テスト、担任の先生との懇談、体育祭、文化祭、修学旅行。本当に多くの出来事が心に残っていることと思います。私自身も、台湾での様々なエピソードや、体育祭では担任の先生方と共に引っ張り出されて最後のダンスを踊ったことなど、とても思い出深いものとなっています。皆さんはそういった様々な経験を通じていつしか成長し、気が付けば3年前と比べると人間的に一回りも二回りも大きくなって今ここにいます。

 フレンド生の皆さんも同様の経験を通じて、全校生徒と「共に学び、ともに育ち」大きな成長を遂げました。特に、今月初めに教育センターで開催された人権文化発表交流会。ステージで堂々と発表する皆さんの姿には、私も胸に迫るものがありました。この三年間、皆さんの学ぶ姿から、周りの友人たちも多くを学んだことと思います。

 思い出は楽しいものばかりではなく、苦いものもあるでしょう。二度と御免だと思うような経験もあったかもしれません。ただ、皆さんはそういった困難も乗り越え、成長を遂げてきたことも確かです。

 つい最近の池江瑠花子選手のニュースは社会に衝撃を与えました。しかし、その試練に立ち向かおうとする姿は、これまで幾多の困難を乗り越えてきた経験と自信に裏付けされたものだとも感じます。「神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はない」と言って立ち向かおうとする彼女に、心から声援を送ると同時に、皆さんにも、これから訪れる困難に負けない力が備わっていると信じます。

 さて、式辞の最後に、本校のモットーである夢チャレンジについて、ラグビーの指導者として有名なエディ・ジョーンズさんの言葉を紹介します。彼は今から4年前、ワールドカップで優勝候補の南アフリカを破るサプライズを起こした全日本のヘッドコーチ(監督)でした。独特なポーズでゴールキックを決める五郎丸選手のチームの監督と言えば、皆さんも分かるでしょうか。そのエディさんに、偶然、修学旅行中に出会いました。札幌の市場で誰も気付いていないようでしたが、彼のファンだった私は思わず話しかけ、写真も撮ってもらいました。帰宅してから家にあった彼の著書を久しぶりに手に取ると、次のような文章が目に留まりました。

「人の中に眠っている力は、計り知れないものがあります。ほとんどの人がそれに気付いていません。自分の中に眠っている力を呼び覚ました人だけが、大きな成功を招き寄せることができるのだと思います。一般的に目標は、手の届きやすいところに置くのがいいとされています。しかし、私はそうは思いません。目標は『そんなことができる訳がない』と思えるほど、大きなものを掲げるべきです。」

 誰もが予想もしなかった、南アフリカを破るという快挙を成し遂げた全日本の監督の言葉だけに、真実味があります。

 皆さんにも、自分の中に潜む計り知れない力を信じ、堺東で培った様々な経験をもとに、これからもチャレンジを続けて貰いたいと強く願います。目先にとらわれることなく、本当に自分が成し遂げたいと思うことを目標に掲げ、その夢に向かってチャレンジを続けてください。いつの日か、きっと叶う時が来ると信じています。

                                           大阪府立堺東高校 校長  栗山 悟