• トップ
  • 2023年
  • 10月
  • Take a trip to Japan from Australia. その1       Road-broad-abroad 9

Take a trip to Japan from Australia. その1       Road-broad-abroad 9

小学校の授業では、よべみの歌、数字ダンス、折り紙では、カメラ、カエル、手裏剣、相撲レスラーが好評だった。中学校では、椅子(プラスティック製)を投げ続ける生徒がいる中、ようやく言葉での説諭ではなく、I am waiting....が有効だと気づき始めたオーストラリア、アリススプリングスで赴任して2か月、10月から11月(1999年)にかけてのころだったと記憶している。赴任してから現地の先生方からお聞きするアリススプリングスという町の状況、先生方のその状況を受け入れる姿勢、まちの財政状況などをお聞きしながら、日本への旅行を企画したいという思いが日に日に強くなっていった。

センター長のキャスは、日本の北陸地方への旅行経験があり、賛成の意を示してくれたが、いつも心配りと声かけを欠かさないインドネシア語を教えるドムは、「よし、あなたの思いはわかるけれど、日本への旅には約2000ドルが必要、この町のひと月分の平均給与がその金額、率直に言うと、この町の人たちがそのお金を出してまで子供をあなたの国に行かせたいとは思えない。この町が教員の日本への渡航費用にその金額を費やすとも考えられない。」事務で業務をしているクリスは、代々の日本からのExchange teacherを受け入れてくれているベテラン秘書だ。過去3代(私が4代目の赴任者)にはそんなオファーがなかったから、そして彼女がこの町で生まれ育ったから、この町の子供たちに日本を見せてやりたいという私の気持ちを強く受け止めてくれた。「多くの子供たちはアリススプリングスしか知らない。町を出たことがない子もいる。とにかく、日本の魅力を小学校、中学校でどんどん発信して、生徒を惹きつけて!」そう、励ましてもらった。

「ちび、デブ、バカ、ブス」何度言ってもそういうのをやめない中学生や、変な言葉を探しては日本語の辞書を私に見せてニヤニヤする中学生がいる一方、校門で「よしポーズ」をして待ち構えてくれる小学生も日増しに増えていった。前記の中学生たちも話すきっかけを作るための行為であったことが、日が経つにつれてわかるようになった。(ある学校では、必ずかめはめ波で撃たれた。いったん倒れてから校内に入るのだ。そして「よしポーズ」)

12月に入る。キャス、ドム、クリスと話をしてから約一か月、これといった動きは感じられない。日本の行事計画から考えると実施は難しそうだ。あたりまえだ。アリススプリングス史上行われたことのないことだ。そしてこのREX Program(私は10期生)の中でも行われたことがないことだった。(それは任期終了後、日本に帰国してから知らされた) 空気を読んでしまう文化を持つ自分。本来持っている西欧化(オーストラリアナイズ)している自分。想いは捨てられない。日本とオーストラリアの懸け橋になりたい。12月末より一年で一番長い休み、夏休みが始まる。Have a nice vacation! と声をかけあい2000年を迎えることとなる。