Rafflesiaの表紙はオータムセミナーでご講演いただいた石野良純先生のお墨付きの生物標本と裏表紙で解説が付されています。
生物の標本を調べ、疑問に思い、課題として研究をし、仲間や先生と協議を重ねた。標本の真の価値を知りたいという強い想いがどんどん膨らんだ。様々な方々の力をお借りしながら、国立科学博物館の甲能 直樹 先生へメールでご質問した。複数回のやり取りを経て、先生ご自身が本校を訪れ、確かめて見たいというお返事を頂いた。
今週、月曜日、12月9日に本校にお越しいただき、課題研究のチームのメンバーは直接甲能先生からお話しいただき、ご説明頂き、また質問にも丁寧にお答えいただいたということをメンバーの二人が校長室を訪れ伝えてくれた。真実を知りたい、究明したい、その想いを甲能先生が受け止めてくださり実現し、ご一緒できた時間はなぞについて解き明かしていくこと、その結果を求めることは計り知れないほど大きな意義があり、もしかしたら日本を揺るがすようなことにつながるかもしれない。同様に、もしかしたらそれ以上に、甲能先生のお力添えを頂いたことで、人類にとっての大きな足跡になる可能性のある一歩を課題研究のメンバーたちは踏み出したのかもしれない。
生徒に会う前の10数分間、校長室でお話を伺いました。ご専門についてのお話を伺うことはもちろん、全国各地での調査の際に、ご自身の専門領域ではないところで懸命に力を尽くされている方々とのやり取りで得られる新しい知見、言葉を交わす中で通い合う心のやり取りや情熱が行き交うことなどをお話してくださいました。夢をもって研究を進めていく中で、科学・技術の進歩は著しく、可能性は想像を越える大きさになっているということを具体的な例を挙げながら丁寧にご教示くださいました。60代の私が数分でこれだけ心が躍ったことを思うと10代の生徒が先生と過ごせた3時間強がどれくらい素晴らしかったかは私の筆では書ききれないものだと思います。
先生をお見送りする際に、メンバーが先生を取り囲むようにして門まで歩いていく姿を見ながら、先人が伝えてくださること、伝えていただいているものの偉大さ、そして心と心が触れ合い、その音に耳を傾け、響き合うことが前を向いて歩いていくための大きな力であることを再確認しました。
知りたい、聞きたいという思い、それを言葉にし、文字にしていく、そして文章として認めていくときの心の音を先生は聴いていただいているように感じました。届くには由がある。
甲能先生、生徒たちにとって一生というスパンの中でのかけがえのない時間を頂けたことと思います。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。