拍手鳴りやまず! その2

昨年度までお世話になった10名の先生方をご紹介し、お越しいただけたお二人、30年の長きにわたって茨木高校をお支えいただいた実習教員の有明先生、そして2年という赴任期間の中で持ち味を存分に発揮してくださった朝倉教頭先生からメッセージをお届けいただきました。

 有明先生からは本校の生物に関する標本がいかに貴重なものであるのかということをずっとお調べになってきた中で、昨年度、78期生、生物D班のメンバーが課題研究の中でアシカの同定に至った過程、知りたいという強い思いが日本の中枢でご活躍されている人へとつながり、絶滅種となるかもしれない節目の年に大きな一石を投じる機縁となったかもしれないということをお伝えいただきました。生徒の皆さんの「不思議」「おもしろい」「知りたい」「伝えたい」が日本全国を揺るがすことになるということを示してもらえたことは、2025年(本校創立130周年)現在の皆さんの心にだけではなく、10年、20年、いやもっと先に自分の興味が世界を揺るがすかもしれないという場面に直面した時に、この日の有明先生のプレゼンが皆さんの背中を後押しすることにつながるでしょう。

有明先生ご自身が、標本のことをお調べになる過程で様々な分野の大学で教鞭をとられているエキスパートの方々とやり取りをされる中で日本全国を飛び回り、時代を江戸時代までさかのぼり、茨木高校のルーツや学校の持つ使命についてお話しいただくのを聞きながらドキュメンタリー番組の一コマに携わらせていただいているかのように感じるとともに、お預かりしている学校の持つ偉大さ、そこに通う生徒の皆さんの無限の可能性に思いを馳せ、震えるような思いになったことが数多くありました。いつもそっと背中を押していただきありがとうございました。

朝倉教頭先生からは体育祭の講評について解説をいただきました。ご自身がJOKEのように教頭はふつう離任式には来ないとおっしゃっていましたが、それは本当です。私の37年の教師生活の中で初めての経験でした。それはどこの学校でも教頭先生が一番忙しく、一番学校のことをご存じで、一番力のある先生だからです。なかなか学校を空けることは容易ではない中でお越しいただけたことに感謝の言葉はとても追いつきません。一昨夜、11時過ぎに帰宅、原稿を書き上げ、床に就いたのは午前2:00だったそうです。全く影も形もないところから、体育祭の講評が出来上がるまでに要する時間は限られており、ほんのわずかな一文や生徒の発言、体育祭当日に起こった出来事、そしてマスコットに関する情報収集。何よりも体育祭がすべての生徒にとって人生の思い出となるよう茨木高校で作り上げられてきた中で、マスコット製作がいかに重要な役割を果たしているかを強く感じておられ、だからこそ丁寧に講評を編み込む。そしてその裏側を惜しげもなく生徒の皆さんや先生方に公表する。様々な思いが交錯する中で今日のこの日のトピックの選択がなされたのだとひしひしと感じました。そして生徒の皆さんがその話に引き込まれていく様子に対面式の時に再三、触れられた茨木高校のあったかさに包まれる思いがしました。

有明先生は、「旅行のようなものです。」と言いながら全国を回って資料を集め、朝倉教頭先生はほんのわずかな睡眠で毎日、学校を支えてくださいました。令和のこの時代には、改善しなければならない働き方、それでもそうしたいという想いはどこから湧いてきたのか。

それは、10分近く拍手を送り続け、80期生を迎え、スライド上で消えずにさまようアシカの動きを追いながら「笑い」を送ることで発表者を労わり、2時間以上体育館の床に腰を下ろしながらお二人の話に聞き入る生徒の皆さんのまなざし、リアクション、その根っこにある暖かさに他なりません。

離任式の最後に、みんな自身の暖かさに拍手してくださいとお伝えしたときにそれぞれが自分自身にした拍手、お二人の退場の時に差し出してくれたまなざし、そして、大きな拍手。きっと忘れられない時間となる。この一年だけではなく、一生の単位で。

この一年、ありがとうが行き交い、ありがとうで満たされる素敵な一年となりますように!まずは私から、いい時間をもらいました。先生方、生徒の皆さんありがとう!