百万遍の交差点から、𠮷田キャンパスに入る。毎年、言葉にしているが、一歩踏み入れた時やはり空気が変わる気がする。少し温度が下がり、「しん」とし、「りん」とした空気の中を歩く。パネルディスカッションの際に「ここに来て初めて、あこがれを漠然と感じ、志望し今に至っている」という74期生のご発言で示されたこと、言語化できない何かがあるということに思いを巡らすだけでも4月の最終土曜日の朝の貴重な時間の意味をひしひしと感じる良い機会になるのではないかと思う。
4月26日(土)京都大学吉田キャンパス時計台ホールにてスプリングセミナーが行われた。京都大学大学院薬学研究科教授でいらっしゃる石濱泰先生からご講演をいただき、そののち68期生池美乃里さま、74期生水野陽介さま、75期生森本健太さまにお力添えいただき80期生の生徒3人を交え、パネルディスカッションが実施されました。
ご講演の中で石濱先生は、在学当時の「ザ、昭和」の中で過ごされた学生時代、個性豊かな教員の方々のエピソードをご紹介されながら、勉強の大切さに触れながら、高校生活ではそれだけにとどまらず、楽しいと思うことを本能の赴くままやっていくことをお勧めになりました。すそ野の広い富士山を登るような気持ちで様々なことを経験しながら登る。全く違う分野から来て、思いもよらない場所で、思いもよらない人が偉業を成し遂げる。すそ野は広いほうがいい。3年間をどのような心構えで過ごすべきかをご教示くださいました。このことは、パネルディスカッションの中での池さんのT字型人材 ― 広い分野、様々なことに興味を持って広く知識を持ちながら専門分野に秀でている ― が求められているということを示唆してくださったことともつながっているように思いました。
ご講演の中で石濱先生の「自分で決められることを、自分発でできる大学を選んだ」というお話の中で見られるように0から何かを作り上げていくということに面白さを感じることのエネルギーの偉大さは、コロナウイルスとの戦いの中で高校生活を過ごした、水野さん、森本さんがコツコツと積み上げたものが一瞬の国や大阪府の発表で突然中止になり、また始めるという繰り返しの中で、何ができて、何がダメかを考えながら0から作り上げることの楽しさを知ったということとつながる部分があるように思いました。逆境をも力に変えていくための心持を授けていただけたような気がしました。どのお話の中でも人と話をすること、コミュニケーションをとること、つな
がりを大切にすることについて触れられました。友と話をすること、話をしながらアイディアが浮かんでくること、心地よい世界ばかりではないからこそ新しい世界が生み出される。その新しいものを理解してもらうためにも人との対話、やり取りがいかに重要であるかに気づくというお話を3つの課題についてお話をいただきながら繰り返ししていただきました。
令和のこの時代に強く求められていることを陰に陽にご教示いただけたことに心より感謝申し上げます。お忙しい中お時間
をお取りいただき、ご準備、ご講演、振り返りまでお力添えいただきました石濱先生ありがとうございました。高校の先輩として、また社会の中で生きていくという観点でもご教示いただきました。ありがとうございました。
池さま、水野さま、森本さま、非常に粘り強く、質問の意図をくみ取りながらこのセミナーで育みたい力に想いを馳せ、届けてくださった言葉の数々、本当にありがとうございます。80期生の多くの心に届いた珠玉の言葉が数多くありました。
コミュニケーションとつながりを大切にし、0から何かを作り出すことの喜び、楽しさを味わえる3年間とする第一歩の一つとなる日が4月26日であることを心から願います。
入学して間もない中で、本行事に携わったスプセミ委員のみなさん、係としてかかわってくださった先生方お疲れさまでした。80期生のみなさん、お力添えいただいたみなさんへの感謝の気持ちを大事にしながら3年間過ごしましょう。大きな一歩となりますように!