九州大学 名誉教授 薬学博士 石野良純先生(28期)をお迎えして CRISPR(クリスパー)発見者からのメッセージ ~茨高生の未来を編集しよう~ のタイトルでのご講演をいただき、79期生の分水嶺となるオータムセミナーを実施いたしました。
事前にいただいたメッセージの中で「わかりません」「やってきてません」と言えるようになってしまった高校での最初の一年間を「空白の一年」とお記し下さり、ご講演の中で高校時代の生物の教科書DNAが二重螺旋構造の図を見て美しいと思ったことが生命科学を学びたいというルーツになったというお話をしてくださいました。何度も学校までお運びいただき、オータムセミナー委員のみなさんとやり取りをしていただきながら後輩の79期生のために聴衆に寄り添ったご講演をしてくださりました。それは茨高の北辰プロジェクトの中でこのオータムセミナーが分水嶺となり、受験生としてこれからの日々を過ごしていく上での心がまえとありようを考える機会であることを十分にご理解いただいたうえでの配慮でした。
事前のクイズ、間口をぐっと広げて誰もがその入り口に立ち、ご自身の体験を高校生の立場で取り入れやすいようにご研究の内容、歩んだ道筋、伴う心の動き、機会を与えてくださる組織、人々、志の変遷、そして今のご心境。科目選択から、大学受験、生活と研究を両立させるうえでの企業で取り組まれたこと。医師として直接的な治療に携わるわけではないがCRISPR/Cas9がその分野でこれから果たしていける可能性の大きさを考えると、先生がその時々で向き合い、対峙してこられたことがご自身の興味を満たすとともに、多くの人の命を救い、世の中を前に進めていくことに大きく貢献されていることが示されていました。実験が楽しくて仕方がない、ライフワークバランスが取れない中でも夢中に取り組めたこと、アメリカイェール大学での日々を振り返られながら当てられている焦点が聞いている生徒の未来にも光をもたらすようなお話の数々でした。
・楽しいことが簡単に見つかるとは限らない
・入った学部にやりたいことが必ずあるとは限らない
・固定観念で見たらだめ
・実験・観察が好きだけでだめ
・好奇心・知りたいという気持ちが大事
・発信することが大事
石野先生が発信してくださったメッセージ、そして歩まれた軌跡。何度も何度も繰り返し頭の中で描きなおし、また、先生の携わってこられたコト、モノに思いを馳せ、触れ、自らの人生を豊かにする機縁としてほしいと心から願います。
質疑応答の際、前から質問者のすぐそばまで歩み寄られ、お答えいただく姿に研究者であり、教育者であられ、なお、茨木高校ご卒業の大先輩としてお話しいただけたことにより深い敬意、感謝の念を抱きました。ご準備に費やしていただいた多くの貴重なお時間も含め、午前中のすべての時間をいただけたことに感謝申し上げます。ありがとうございました。
オータムセミナー委員のみなさんの心が届いた瞬間に立ち会えて幸せです。ありがとう!