8月15日「選手権に向けて⑩」

選手権1回戦まで残りわずか。
 
今年の冬、公立大会での茨木戦。
チームが茨木戦に向けて必死に取り組んでいるその時、
僕は生徒会活動でチームから少し離れがちになっていた。
 
当日、試合中に久しぶりに見る仲間たちの姿、勝利への気迫に僕は正直圧倒された。
 
それは自分だけでなく、実際に会場全体の雰囲気が彼らの闘う姿を見て、
畷一色に染まりつつあったのをひしひしと肌で感じた。
 
彼らなら勝てるかもしれない、何か起こしてくれるかもしれない。
心の底からそう思えた。
 
しかし勝てなかった。
苦しい時間帯もギリギリのところで耐え続け、
チャンスもいくつか作れていたものの、終了間際で失点。
勝利まで「最後の一歩」が届かなかった。
 
外から見ていた僕はそれでも勝つことができなかったその現実に
うしようもない悔しさを覚えた。
 
しかしそれがその後の行動に繋がることはなかった。
自分じゃなくても誰かがきっとやってくれるだろうと思い、
必死に頑張っている仲間を横目に自分のことにばかり目を向け、
チームに対して何も行動が起こせなかった。
それが僕の大きな後悔の一つだ。
 
そしてそれこそがあの時から今に至るまで僕自身、
そしてチーム全体に足りていない「最後の一歩」の部分なのだろうと今では思う。
 
一人一人がチームのことをどれだけ強く思うことができるのか、すなわち「チーム愛」だ。
 
一人一人の、チームを本気で想う気持ちが相互作用し合って、
無限の可能性を生み出し、個人では積みきれなかったものはカバーし合うチーム全体の強さ。
 
チーム全体でもう一度会場を畷一色に染め上げる。
 
選手権は僕たち75期にとっての集大成。
しかしそれ以上に後輩たちに何かを残せる最後の機会、
チームに対して何も出来なかった僕をここまで成長させてくれたことに恩返しできる最高の舞台、
これまでお世話になったすべての人への感謝を体現できる特別な場所。
その結果こそに意味がある。
 
僕はただひたすらに勝ちたい。
 
仲間と共にサッカーを続ける為に、
成長させてくれたこのチームに恩返しする為に、
そして、支えてくれたすべての人の為に。
 
3年プレーヤーY
 
掲載:顧問山磨