選手権に向けて⑤ 「半端な人間の逆転劇」

よくこういう言葉を耳にすることがあります。

"長いようで短かったような、そんな時間でした。"  

はっきり言わせてもらいますが、ぼくにとってこの2年半はとてつもなく長く感じるものでした。何度もやめてやると心に決めましたが、気付けばここまできました。1、2年の僕がこのことを知れば驚愕すると思います。

畷高サッカー部における僕は何においても半端でした。メンバーに選ばれたり、選ばれなかったり。ただただスケジュールをこなす日々でした。

そんな僕が選手権目前までやってこれたのはやはりサッカーが好きだったからです。結果が出なくても、試合に出れなくても、どれだけつらい時間が続いてもサッカーが好きなことだけは変わりませんでした。このことが唯一この2年半で僕が誇れることかなと思います。  

がむしゃらに、下手くそでただもがき続けるような、傍から見ればだっさい畷高サッカー人生でしたが、そのお陰で一生の思い出に出会えることだってあります。  

僕にとってそれは間違いなく東海大仰星戦です。結果だけ見ると敗北という形ですが、自分たちも戦えるんだという自信を与えてくれた瞬間でした。  

そして、まだ戦いたいと思わせてくれた瞬間でもありました。試合前、この試合を終えて完全燃焼だなと思って挑みましたが、終わってみるとそこには完全燃焼なんてものは無く、あったのは不完全燃焼を訴えかける自分の心でした。  

そこからはあっという間です。負ければ終わりのところまで来ました。2年半の半端な時間を、最高な瞬間を実現するための準備期間にできるよう全てをぶつけます。
3年プレーヤー O
掲載:顧問浅田