現在四條畷高校サッカー部には、2人の主将がいる。
主に戦術やゲームプランについて考えることを担当する、 サッカー内担当の主将。
そして、主にチーム運営や、 サッカー以外の活動について担当する、サッカー外担当の主将だ。
僕はサッカー外担当の主将である。
1つ上の代のキャプテンから、 僕達の新チームの役職について初めて相談があった時、 僕の役職は"副主将"であった。 しかし僕はどうしても主将になって目標に進んでいきたかった。 そこで、先輩や先生方と相談し、"ダブルキャプテン" という形で新チームを迎えることになった。
最初は、「 本当に自分がワガママを言って主将になって良かったのか」 と思うこともあったし、 ダブルキャプテンという体制に慣れない部分もあった。 しかしこの1年を振り返ると、 2人で主将をやってきて本当に良かったと思う。
それぞれがそれぞれの得意な面でチームを支える、 そして苦手な面は得意な人の力を借りて少しずつ克服していく。 この考え方は、1年間のチーム運営の土台ともなった。
この1年間、サッカー外担当の主将として、 たくさんのチームメイトと、何度も何度も関わって来た。 その中で、1つの言葉と出会った。
「人は変えられない」
僕はこれまで、本気でぶつかれば人は変えられると思っていた。 だからこそ、僕がこの言葉を聞いた時、正直悔しかった。 どこか寂しい感じもした。本当にそうなのかと疑った。しかし、 それと同時に少ししっくり来る感じもした。
僕がこれまでチームメイトと関わる中で、「 この人を変えることができたかもしれない」と思っていたことも、 おそらく違っていた。
僕は、 その人が変わるためのきっかけを与えているにすぎなかった。 そしてその人は、そのきっかけを掴み、自分から変化して行った。
逆に言えば、どんなに良い環境があっても、 どんなに良いアドバイスを貰っても、結局は自分自身が行動し、 自分自身で変えて行くしかない。
周りが自分の全てを変えてくれるなんてあり得ないのである。
僕は、成長するきっかけを与えてあげることは、「 種をまくこと」だと思っている。
この1年間、僕は、悩みながらも、苦しみながらも、 チームに対して種をまき続けて来た。 これは意外にしんどいことであった。ほとんどの種は、 気付かれることなく終わって行く。しかし、ごくごくたまに、 まいた種が実を結ぶことがある。 今まで積極的に行動していなかったチームメイトが自分から何か行 動を起こそうとした時、 自分の弱さに本当に向き合おうとするようになった時...
この瞬間こそが、 僕が主将をしていて最もやりがいを感じる時であった。
僕は人を変えてなんかいない。
種をまいているだけ。
それで良い。いや、それが良いのかもしれない。 チームメイトのみんな、本当にありがとう。
これまで1年間活動して来て、「しんどいことが無かった」 と言えば間違いなく嘘になる。 本当に本当に楽しい時間であったが、 上手くいかないことも多かったし、 そういう時はやはりつらかった。 メンタルがブレてしまう時もあった。
しかし僕がこの1年間、 心の中で常に燃え続けていた想いがある。それは、「 選手権で強豪校を倒す」という想いである。 この想いだけは1秒たりとも弱まることが無かった。この2年半、 全てをサッカーに捧げて来た。 時には馬鹿にされることもあったし、 冷ややかな目で見られることもあった。それでも、 ただただ選手権で強豪校を倒したくて、必死に進んできた。
その選手権に、今このチームで挑めることが本当に嬉しい。 それぞれが、自分達自身で成長して来たからこそ、今のチームは「 戦えるチームである」と自信を持って言える。 たくさんの方々への感謝を胸に、戦い抜く。
最後になりましたが、 これまで僕達の1番近くでいつも支えてくださった先生方、 本当にありがとうございました。 この四條畷高校サッカー部という最高の環境で、 本当にたくさんのことを学びました。 そして、いつも僕達を応援してくださっている皆様、 本当にありがとうございました。 明日からも引き続きご声援の程よろしくお願い致します。
明日はいよいよ選手権初戦。
今まで積み重ねて来たものを信じて。
さぁ、戦おう。
3年プレーヤー N
掲載:顧問浅田