府立高校の指導教諭2名に講師をお願いして、「高等学校理科 化学実験のコツ」をテーマに、「カリナビ相談会」を9月16日(火)に実施しました。
高校理科の教員は、物理・化学・生物・地学の専門科目別に採用されますが、学校現場では、自分の専門の科目以外の科目も教えなくてはなりません。実験に関する情報を得たいと思っている人はたくさんいます。今回も化学が専門ではない人が多数参加していました。
高校では、「化学」のニーズは高いのですが、残念ながら化学を苦手とする生徒も多いのが現状です。それだけに、授業者は、生徒にとってわかりやすく、興味・関心をもってもらえるような見ごたえのある実験ができるよう、常に考え続けていかなくてはなりません。一方で、実験を充実させるためには、準備や片付けにエネルギーをあまりかけずに済ませる工夫も重要です。
今回、講師をお願いした2名の指導教諭の先生は、常により良い実験の開発に力を注いでこられ、アイデアをたくさん持っておられます。
紹介してくださったのは、万能pH指示薬の紹介と活用方法、気体の溶解度や食塩水の電気分解を視覚的に観察できる実験、ゼリー状になった水酸化銅のろ過やワインの蒸留実験についてですが、いずれの実験も簡便で、わかりやすく見ごたえのあるものになるよう、工夫されたものばかりでした。参加者は一つの実験が終わるたびに、歓声をあげながら、「これはぜひ取り入れていきたい」と口々に言っていました。
終了後も数人の参加者が残り、指導教諭に質問し、様々な疑問に答えてもらっていました。指導教諭は、「『せっかく授業をしているのに聞かない生徒はおかしい。授業が分からないのは生徒に問題がある』などと言って、すべて生徒のせいにするのは間違っている。」「どの学校でも、授業に参加してもらえるように努力しなくてはならないのは同じ。自分に不必要と感じれば、授業に集中できないのはあたり前のこと。それをいかに積極的に授業に参加するように仕向ける努力は、どの学校の先生にとっても必要なこと」「最初からうまくいくわけがない。そういう課題意識を持ち続けて努力し続けると、きっとすばらしい先生になっていける」などと言葉をかけながら参加者を励まし、自分がいかにして生徒からの信頼を得ることができたのかなどの体験談を話してくださるなど、教科指導をこえた悩みにも丁寧に答えてくださいました。
(理科教育研究室)