小・中学校人権教育研修B(男女平等教育)を実施

 9月16日(水)~10月6日(火)の間、Webにて小・中学校人権教育研修B(男女平等教育)を実施しました。男女共同参画社会の実現に向けて、府内の小・中学校でも多様な男女平等教育の取組みが進められています。しかし、教育する側が意図する・しないに関わらず、学校生活を営む中で子どもたちが学びとっていく、いわゆる「隠れたカリキュラム」をはじめ、依然として多くの課題も残っており、男女平等の観点に立った授業づくりや学校づくりは一層重要となっています。そこで、大阪府における男女平等教育の現状と課題について理解するとともに、学校に求められる役割について認識を深め、男女平等教育の具体的な取組みについて考えることをねらいに本研修を実施しました。

 まず、府教育庁小中学校課の指導主事より、「男女平等教育、性的マイノリティの人権についての理解及びセクシュアル・ハラスメントの未然防止について」と題した講義を行いました。令和元年に大阪府が行った府民意識調査の結果からも、「男は仕事、女は家庭」といった固定的な性別役割分担意識が、男女共同参画社会の実現をはばむ大きな課題となっていることが指摘されています。国内外の男女共同参画に向けた動きを踏まえ、府でも、性別役割分担意識の解消に向けた府民の意識改革を進めていくこと、持続可能な開発目標(SDGs)への取組みによりジェンダー平等の観点を主流化していくこと、また、性的指向及び性自認(SOGI)の多様性に関する理解を深めていくことの必要性について話がありました。

 次に、大阪狭山市立北小学校より、「男女平等教育の観点を大切にした学級づくり」と題した実践発表がありました。持ち物が男女によって分けられているといった、暮らしの中にある性別による決めつけを単に否定するだけではなく、保護者から大きな影響を受けて育った子どもの思いにも丁寧に寄り添いながら男女平等教育に取り組むことで、子どもたちの本音を引き出し、周りの仲間の考えも踏まえ、ともに学び合う関係をつくってきたこと、また、男女平等教育に取り組む中で教職員自身も自らの価値観を問い直すきっかけとなったエピソードの紹介があり、男女共同参画社会をめざす取組みは性別に関わらずすべての人が持てる能力を発揮できる環境づくりにつながる大切なものであると実感できるものでした。

 最後に、大阪多様性教育ネットワークの沖本和子共同代表より、「男女平等社会をめざす学校づくり」と題した講演がありました。学校で男女平等教育を進めるためには一人ひとりが同じように大切にされる関係がなくてはならないことや、性別による思い込みや決めつけ(無意識の偏見・アンコンシャスバイアス)が子どもの希望や可能性を狭めていることなど、男女平等教育の課題についてお話しいただきました。また、暮らしの中にある決めつけについて考え合い、ともに課題を解決していく男女平等教育について、具体的な教材や取組みも含めて紹介していただくなど、今後の男女平等教育を進めていく学びの多い時間となりました。

 受講者からは、「自分も無意識に固定的な性別役割分担意識を持っていることを自覚しました。まずは、自らの意識を振り返ることが必要だと感じました。」、「男女平等教育に限らず、人権学習に取り組む際に、子どもに正しいことを押し付けてしまいがちになることに悩んでいましたが、子どもの中から生まれる疑問や違和感を大切に取り組んでいきたいと思いました。」、「講演を通して自分を見つめ直すと、日常のあらゆる場面で、性別や性に関わるその表現はどうなのか?その区別は要るか?と、ひっかかることが増えました。」といった感想が寄せられました。

 本研修で、受講者が自らの価値観や子どもたちへの声かけを振り返り、周りの教職員と互いに意見を交わしながら、男女平等教育の在り方について考えを深めていくこと、そして、男女共同参画の観点を踏まえた上で、子どもたち一人ひとりが大切にされる授業づくり、学校づくりが広がることを期待しています。

(人権教育研究室)

カレンダー

2024年4月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

カテゴリ