『証明』
78期最後の夏、おそらく78期のほとんどの人はこの選手権で自分が2年半やってきたことの全てを出し切ろう、そんな思いでいると思う。もちろん僕もその思いもある、しかし僕にとって選手権とは自分がこの一年間副キャプテンとしてやってきたことは間違っていなかったと証明する場だ。
僕が入部してからの76期、77期の選手権は両方とも初戦敗退で終わった。先輩たちは選手権のためにものすごい努力をしてたし、それを側から見ていて本当に凄いと思っていた。けれど、その努力では勝利には届かなかった。側で見ていたからこそ終わった後に先輩たちと同じ努力が出来なかった自分が死ぬほどみっともなかったし先輩達に申し訳なかった。きっと先輩たちの熱量や努力を近くで感じられることに満足してしまっていたのだろう。だからこそ自分達の選手権では自分達だけで無く後輩達も後悔させないために最大限を引き出せるように導いて、試合に勝とうと決めた。
副キャプテンになってからの一年間、僕はチームメイトに対して多くのダメ出しや無茶振りをしてきた。僕自身サッカーの技術や能力が高いわけでも無い、自分の要求や無茶振りしていることを自分が出来るわけでも無い。それでもその要求が勝つためには必要だと分かっていたし、これは僕にしかできないことだとも確信していた。
勝てるチームに導くにはチームメイトから優しい人だと思われているだけではいけない。時には嫌われる覚悟をして厳しい声掛けをしなければならない。そしてなにより、その分他の誰よりも自分に厳しく無くてはならない。僕にはそれが出来なかった。チームメイトから見たら他人には厳しく、自分には甘いそんなみっともないやつだっただろう。そんな僕についてきてくれたチームメイトには感謝してもしきれない。
この一年間、僕は自分の成長に向けるべきベクトルの殆どをチームに向けてきた。自分が上手くなっていくのを実感している時は嬉しかったが、それ以上にチームメイトやチームが成長しているのを感じる時の方が嬉しかった。だからこそ僕が愛し、成長を共にしたこのチームで勝ちたい。今まで見たことがない選手権で強豪私立に勝利という最高の景色が見たい。
打倒強豪私立への道のりは楽な時など無く、険しく厳しいもののはずだ。だがなぜだろう、このチームならやれる気がする。
3年プレイヤーK
掲載:顧問佐藤