12月27日(土)、大阪教育大学天王寺キャンパスにおいて、「理科系教員(CST:コア・サイエンス・ティーチャー)養成拠点プログラム成果報告会」が行われました。このプログラムは、科学技術振興機構(JST)の認定を受けて、大学と教育委員会が連携して、小・中学校教員の理数教育における指導力向上を図ることを目的として行った事業です。大阪における現職教員を対象とした養成の取組みは、大阪府教育センターが中心となって、「小・中学校『理科』指導者養成長期研修」と兼ねて行っていました。
(和田所長からのあいさつ)
最初の全体会では、大阪府と香川県での取組みの成果報告がなされました。大阪府からは、「CST教員の人数が増え、また、認知が広がるにしたがって、CST教員による研修回数が確実に増えてきている」ことが紹介されました。
科学技術振興機構(JST)のプログラム推進委員会委員からは、大阪府の成果報告に対して、次のようなコメントをいただくことができ、課題についての指摘も受けましたが、大阪府のCST教員の活動状況が高く評価されたものと思っています。
・CST教員の授業をいくつか見させていただいたが、子どもたちに考えさせる授業がなされており、言語活動についてもしっかりと取り組んで、いい授業をしていると感じた。このような丁々発止のやり取りを見たことがなかった。半年にわたる教育センターでの研修が成果としてあらわれている。また、理科だけでなく他の教科にも同じような考えの授業づくりを広げようとしている。
・ヒアリングの中で、「自由研究の発表が多くなってきた」「理科室が活気づいてきた」「学校全体での研修にも取り組んでいるが、テーマを決めた小さな研修(ちょこっと研修)が有効なことがわかってきた」との声を聞くことができた。
・大阪のある市では、CST教員を悉皆研修で活用している。このような活用が広がってほしい。
・大阪教育大が中心となって養成している学生CSTと府教育センターが中心となって養成している現職教員CSTの交流をもっと活発になるよう工夫してほしい。
分科会では、4つのテーマに分かれて報告や討議がなされましたが、ある分科会で、大阪府のCST教員から、「自分は、地域において理科教育振興のために何ができるのか常に模索している」との近況報告がなされました。これは、私たち教育センターでの研修を受けた結果、地域のリーダーとなろうと高い目的意識をもって、積極的に活動しようとしていることの表れだと考えています。
また、ポスターセッションも開かれ、大阪のCST教員も多数発表していました。全体会で報告のなかった各府県の取組みや、CSTが開発した教材や活動のようすについて情報を得ようと、会場は熱気にあふれていました。
今回の成果報告会での推進委員会委員のコメントや分科会での大阪府のCST教員の発言などから、多くの大阪府のCST教員が積極的に活動をしていることがわかりました。また、CST教員が学校内だけでなく市町村教育委員会などで少しずつ認められるようになり、他の府県にはない半年にわたる長期の研修をもってCST教員を育成しようとしている大阪府の取組みの成果が徐々に表れてきたものと感じています。
(理科教育研究室)