教育センター研究フォーラム開催!(午後の部)

 午後には、6分科会を開催しました。
 なお、各分科会の発表要旨は、下記よりダウンロードできます。

P-1分科会P-2分科会P-3分科会
P-4分科会P-5分科会P-6分科会

【午後の部】

P-1分科会
「ライフステージに応じたキャリア教育 -授業づくりを通して-」

 支援教育研究室はP-1分科会を実施しました。テーマは、「ライフステージに応じたキャリア教育 ―授業づくりを通して―」でした。

 第一部は実践発表で、まず和泉市立富秋中学校の玉野良和先生から、保育園、幼稚園、小学校、中学校と、校園種を超えて中学校で取り組んだ「ことばの力」の育成を、キャリア教育でつけたい力の一つである「人間関係形成能力」と結び付けて発表していただきました。
 次に、府立岬高等学校の的羽祐太朗先生、鎌田昭男先生から、子どもたちの学習課題に沿った英語学習の取組を、自己の確立に向けた選択・決定能力との関わりで発表していただきました。
 また、府立泉南支援学校からは虎野正幸先生に、卒業後の「はたらく」をイメージした授業づくりに挑戦した取組を発表していただきました。

H26P1_01.JPG府立泉南支援学校からの実践発表

 当日は、大ホール内に音声コード対応携帯電話の体験コーナーも設けました。用紙に印刷された音声コードを機械に読み取らせることで、用紙に書かれた文字が音声に変換され携帯電話から聞こえるというものです。視覚に障がいのある方への支援として、このような機器が広がることを願っています。

H26P1_02.JPG音声コード対応携帯電話体験コーナー

 第二部では、広島大学大学院教育学研究科の竹林地毅准教授からご講演をいただきました。演題は「キャリア発達を促す授業づくり」で、児童生徒が自ら判断し行動する力を育てること、一貫性のある指導を実現していくこと、学習意欲を高める工夫についてなどを、ユーモアを交えながら分かりやすく教えていただきました。

H26P1_03.JPG広島大学大学院 竹林地毅准教授による講演

 参加者のアンケートでは、「キャリア教育の重要性がわかった」「企画していただき、ありがとうございました」「次年度も楽しみにしています」などのたくさんの意見に元気をいただきました。

(支援教育研究室)

P-2分科会
「子どもの力を伸ばす学習評価」

 P2分科会は「子どもの力を伸ばす学習評価」をテーマに、教育センター附属高校コミュニケーション教室で開催しました。
 はじめに文部科学省の田村学教科調査官から「これからの社会で求められる21世紀型学力とその評価」と題して講演をお願いしました。田村調査官の講演は、テーマや内容の豊かさで聴くものを引きつけるだけでなく、参加者が壇上に上がって、自分の考えを説明したり、前後、左右で話し合ってお互いの考えを引き出しあうなど、まさにアクティブ・ラーニングを実践する内容でした。

P2_01.jpg 講演に引き続き、3つの高校がテーマに沿った実践発表を行いました。
まず、府立港南造形高等学校の村田和久教諭からは「企画力・構想力を育む -スペースデザインの取組-」というテーマで、同校2年生の選択科目「スペースデザイン」でフィールドワーク、資料収集、コンセプトの立ち上げ、テーマ設定、造形化、プレゼンテーション発表の過程の中にルーブリックや観点別学習状況評価を導入し、言語表現力、計画性と企画力、構想力をつけていく試みについての発表がありました。

P2_02.jpg つぎに、府立三国丘高等学校の太田貴志教諭からは「論理的思考力の育成に向けて」をテーマに課題研究Ⅱの中でルーブリックを用いてパフォーマンス評価を行った教育活動についての発表がありました。ルーブリック作成の過程で教員の専門性が向上することや、チームを組んだ教員間の連携が密になること、また、最初は時間がかかったルーブリック作成が次第にスムーズに進行することなどが実践報告の形で語られました。

P2_03.jpg 最後に教育センター附属高等学校の田中昌一首席からは視点を変えて、学校全体で観点別学習状況評価を含むシラバスを作成し、授業実践して行く中で教員の授業力を向上させ、生徒の学力向上を図る取組について発表がありました。本年度の取り組みを通して教員間に観点別学習状況評価の理解が深まってきたということで、今後、観点別学習状況評価に基づいた授業のデザインや、思考力、判断力のような見えにくい力の評価に取り組んでいくことが報告されました。

 3校からの報告を受けて、実際にルーブリックを作成するワークショップが行われました。教育センター附属高等学校の小山真弘教諭から、数学Aの授業で観点別学習状況評価を取り入れて行った授業について簡単な報告があった後、実際にその授業を受けた8人の生徒が提出したレポートを、参加者が4人ごとにグループを作り、評価の観点を立て、それに従ってルーブリックを作成し、評価を行いました。参加者は熱心に話し合い、短い時間の中でしたが、実際にルーブリックを作成するという体験をしました。二つのグループが発表し、他のグループは作成したルーブリックと評価を壁に貼って、終了時に参加者の間で共有しました。

P2_04.jpgP2_05.jpg 以上の発表およびワークショップを受けて、再び田村調査官よりご講評をいただきました。調査官からは一つひとつの発表についてのコメントだけではなく、本日の分科会をまとめる形で学習評価の機能について、特に指導と評価を一体化させることの意義などについて丁寧にご説明をいただきました。参加していただいた皆さんには持ち帰るものも多かったのではないかと思います。

(カリキュラム研究室)

P-3分科会
「理科の観察・実験 -子どもの力を信じ、考える楽しさをともに-」

 今年の理科の分科会(P-3)は、「理科の観察・実験-子どもの力を信じ、考える楽しさをともに-」をテーマに、小学校2人、中学校1人、高等学校1人の先生による実践発表とそれらをもとにしたパネルディスカッションを行いました。

 大阪市立豊崎本庄小学校の宮下先生からは、「きまりを見付ける自然事象の表し方-推論する力を育む-」をテーマに、児童が楽しみながら、月の見え方のきまりを見つけ、推論する力を育んでいけるように、「動機づけの工夫、壁面掲示、グループワークによる推論」を3つの柱として取り組んだ授業実践の発表がありました。この取組の結果、児童は自分たちの考えを振り返り、月の見え方のきまりについて考えを深めていくことができるようになったとのことでした。

 

_MG_0271.JPG 寝屋川市立三井小学校の村瀬先生からは、「児童による説明活動」をテーマに、言語活動を中心とした研究授業の発表がありました。他の人に説明することは、学習の定着にとても有効です。そのためには、日常のノート指導をしっかりと行い、科学的な言葉を使って表現できるように指導するとともに、ポスター掲示の取組を行うなど表現の場を設けて説明させることが重要だとのことでした。

_MG_0268.JPG 茨木市立西陵中学校の高岡先生からは、「学習した知識を生かして、事物・現象を分析・解釈する学びを通して」をテーマに、「事物・現象 分析・解釈シート」を用いて生徒が自ら実験を考案し、分析・解釈を行う授業の実践発表がありました。この取組を通して、生徒は、集中して視点を定めて事象を観察できるようになり、自分たちで課題を発見し、目的を意識して実験に取り組めるようになったとのことでした。

 府立伯太高等学校の北野先生からは、「生徒主導型実験(PIE)の実践報告」をテーマに、生徒が自分たちで、実験のめあてや実験方法の説明を行い、考察をファシリテートする取組について発表がありました。教師役の生徒の事前指導をしっかりとすることにより、教師役の生徒は生き生きと活動できるようになり、その他の生徒にとっても、質問しやすいこともあって活発に質問するなど、言語活動が充実した授業となり、これが学習意欲の向上につながって理解度が大きく増加したことのことでした。

 

_MG_0287.JPG パネルディスカッションにおいては、それぞれの発表者から、実践する際に工夫したことや、日頃、自らの学習指導力を向上させるために取り組んでいることなどについて話をしていただきました。発表された4人の先生は、教育委員会が主催する研修や研究会、その他の団体が主催する研修会・勉強会に積極的に参加し、日頃から、新しい情報を得て、自らの授業に積極的に取り入れようと努力されており、これらがよい成果に繋がっていることがわかりました。

_MG_0300.JPG 最後に、茨木市教育センターの上村指導主事から、市として先生方を支援する3つの取組について話をしていただきました。まず、市の理科教育部門小委員会にて、指導案検討、模擬授業研修、研究授業という一連の取組の中で評価について研究討議を行い、様々な授業の改善すべき点を発見していること。次に、理科教育研修会を積極的に(今年度は38回)実施していること。そして、子どもたちを対象とした土曜科学教室の開催や、自由研究を推進するための相馬芳枝科学賞の創設など、理科の楽しさや喜びを授業に繋げていく取組が紹介されました。

_MG_0277.JPG 参加者からは、「立体的な子どもの学びの組織作りとそのための様々な配慮・工夫・手だてを考え、仕掛けていくことが教師の仕事であることが再確認できた」「子どもを信じ、環境整備や教材研究を精力的に進めるなど、先生方の向上心を強く感じました」「教師の工夫で授業を変えられるということを実感することができた」「授業では、教え込みや誘導が多く、子どもの力を引き出す授業づくりが出来ていないことが悩みだったが、PIEの方法やグループでの活動、分析・解釈シートなどをぜひ取り入れて、授業改善に取り組みたい」などの感想が寄せられました。
 今回の分科会では、これからの授業づくりの参考となる内容がたくさんあったと思います。参加された先生が今回得たことをもとに授業の改善に取り組み、それが周りの先生方にも広がっていくことを期待しています。

(理科教育研究室)

P-4分科会
「授業に喜びと感動を -ものづくりとICT活用を通して-」

 P-4分科会では「授業に喜びと感動を -ものづくりとICT活用を通して-」をテーマに、実践発表と研修報告、およびICT活用に関する講演を行いました。

DSCN0196.JPG 「ものづくり」の内容では、中学校技術の授業の中で子どもたちが変化していった栽培実習の実践発表、高等学校工業科教員による技をみがく「実技指導力向上研修」の研修報告がありました。
 「ICT活用」の内容では、"わかる授業"実現のためのICT機器の活用のありかたについて、小・中学校における実践が発表されました。

IMG_3376.JPG 神戸学院大学の佐藤准教授による講演は、「教育におけるICTの役割」をテーマに、ICTのメリットとデメリットや情報化の実態調査に関するお話でした。大学における事例など、あまり知られていない内容もたくさんあり、たいへん興味深い講演でした。

(情報・技術研究室)

P-5分科会
「不登校児童生徒への有効なアプローチ -個々の状況に応じた適切な関わりとは-」

 P-5分科会では、不登校児童生徒への有効なアプローチをテーマに、100名近くの参加がありました。

 前半は、府内18市の適応指導教室の担当教員から、各教室での児童生徒との関わり方や適応指導教室と学校との連携の方法、適応指導教室に通室している児童生徒の学校への復帰に向けた取組について報告がありました。まとめとして、児童生徒本人や保護者の思いを十分に聞くこと、学習内容、学級の様子等、定期的に学校からの連絡をきちんと伝えるなど、学校で活用できるノウハウが提示され、不登校児童生徒の支援には、学校と本人、家庭との信頼の芽を育てることが大切であると結ばれました。

 後半は、教員のほか、教育委員会や適応指導教室の教職員、NPO法人の方など不登校の児童生徒の支援に関わる方々で班別協議が行われ、不登校支援に効果のあった事例や不登校の児童生徒に対する有効なアプローチについての交流を行いました。どの班でも最後まで熱心な協議が行われました。

(小中学校課)

P-6分科会
「豊かな心と志や夢を育むために -『志(こころざし)学』における実践-」

 「志(こころざし)学」の「社会についての理解や健全な批判力等を養い、社会の発展に寄与する態度をはぐくむ」をテーマに、府立市岡高等学校での「志(ここざし)学」の実践の発表を行いました。また、平成30年6月から日本国憲法の改正についての国民投票において、満18歳以上の者がその投票権を有することとなること踏まえて、大阪府教育センター指導主事による事例発表、パネルディスカッションを行いました。

 府立市岡高等学校では、総合的な学習の時間の中で防災教育などについて取り組んでおり、発表会に向けての調べ学習では、災害時における各家庭の食料品の備蓄状況についての調査報告や防災グッズについての考察など、その内容は多岐にわたるものでした。
 事例発表では、新聞を活用した授業や泉南アスベスト問題など、地域の問題を通して政治への関心を高める授業が紹介された後、他府県で行われている時事問題についての争点学習や模擬選挙などが紹介されました。
 パネルディスカッションでは、授業で政治を扱うにはNIEが有効であることや政治的中立性など配慮すべき点について意見が交わされました。

 参加者からは、「様々な授業実践が聞けて良かった」「社会参画を積極的に行うことのできる生徒を育てるための授業を行っていきたい」などの声が寄せられました。今後、このような「志(こころざし)学」の取組が、より一層広がっていくことを期待しています。

(高等学校課)

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