平成27年2月24日(火)、大阪教育大学教授の任田康夫先生、京都大学名誉教授の梶本興亜先生に指導助言や講評をお願いし、理科指導者養成長期研修受講者による「課題研究発表会」が開催されました。研修受講者にとっては、他の講義なども受けながらの取組みであったことから、研究に集中できたのは1か月ほどの短い期間でしかありませんでしたが、夜遅くまで実験を続けたり、プレゼンの練習を見せ合って指摘しあったりして、よい発表となるよう取り組んでいました。
課題研究発表会とは、研修受講者が日頃疑問に感じていることや調べてみたいと思ったことを課題として設定し、課題を解決するために、センター職員の指導・支援を受けながら観察・実験を行い、その成果をレポートにまとめて発表するというものです。
期間は短いものの、研修受講者は、文献を調べ、研究の進め方を考え、実験装置を工夫し、また、様々な機器を使って精密に測定や分析を行いながら、研究成果をまとめました。
研究の途中では、指導に当たったセンター職員から、実験器具の取り扱いについての指導だけでなく、実験の精度やデータの解釈の間違い、考察の不十分さなど、様々な指摘を何度も受けていました。ここまで厳しく研究のあり方を考えさせられた経験をしたのは初めてであるという者も多かったと思いますが、このような経験を通して、「観察や実験の方法」の工夫や「科学的なものの見方、考え方」とはどのようなことなのかを体験的に学ぶことができたと思います。
今回のテーマは、「ダイコンの辛味と甘味」「紙飛行機」「夕日の色」「魚の口の形」「多羅葉(たらよう)の葉」に関するもので、身近な題材ばかりでした。
発表会では、出てきた質問に対してもしっかりと受け答えができていましたが、それは自らが汗を流し、まとめあげた自信からくるものであると思います。
講評においては、いくつかの改善点の指摘はあったものの、「子どもたちの身近なところから出てくる課題設定であり、また、研究の質も期間が短かったにもかかわらず、高いレベルで研究がなされていた」と、あたたかな感想をいただきました。
理科の授業で大切なことは、子どもたちに「どうしてだろう」との興味や関心、疑問を感じさせ、「それはきっとこういうことだ」との仮説をたて、それを解決するための観察・実験を工夫して行い、その結果を解釈し、考え、理解を深めていくものです。そのような体験を繰り返しする中で、子どもたちは、科学的なものの見方や考え方を身に付けていきます。
受講者のみなさんは、課題研究に取り組むことによって、他の教科ではなかなか味わえない本当の理科の面白さを知るとともに、探究活動を通して子どもたちに正しい科学的な見方や考え方を学ばせる方法を工夫し実践することの大切さを知ることができたと思います。
4月になって研修受講者の皆さんは学校現場に戻っていきます。これまでの授業の中で取り組んできた理科の授業を見つめ直して効果的な授業を実践し、CST(コア・サイエンス・ティーチャー)として活躍してもらいたいと思います。
(理科教育研究室)