教育支援センター便り2 ~9月の活動~

 大阪府高等学校教育支援センター(愛称:ルポン)では、心理的または情緒的原因などにより登校の意思があるにもかかわらず登校できない高校生を対象に「学習支援」や「心理支援」を行い学校復帰に向けたサポートを行っています。「心理支援」では活動の一環として、一人ひとりの生徒が自分の思いを言葉で表現できるよう「自己表現ワーク」を採りいれており、今年度はICTを活用した体験学習活動にも取り組んでいます。

 今回は、9月7日(月)に複数の人がひとつの文書を一緒に編集することができるグーグルドキュメントの機能を活用して行った「季語あつめ」と「言葉つなぎ」の様子を紹介します。

 まず「季語あつめ」では、俳句や季語についてひと通りの学習をした後、生徒とスタッフのペアがチームとなって、それぞれのチームが「新年」から「春」「夏」「秋」「冬」までの5つから好きな季節を選び、次に「行事」や「植物」等のジャンルごとに自分が選んだ季節に関連する言葉をできるだけたくさん記入していくというものです。それぞれのチームがペアを組んだ相手と相談したり、画面に浮かび上がってくる他のチームの言葉を参考にしたりしながら、夢中で季語を集めていきました。

 その後は、お題となる言葉から連想する語を体言(名詞・代名詞)と用言(動詞・形容詞・形容動詞)を交互にどんどんつないでいく「言葉つなぎ」に挑戦しました。これは、例えば「りんご」→「赤い」→「金魚」→「泳ぐ」という風に、相手が示した言葉に関連する言葉をつなぎながら、最初のお題とできるだけ異なるイメージの語で終わることを目標にイメージを膨らませていくものです。自分たちが選んだ言葉の下に、別のチームが自分たちの発想と異なる言葉を選んで、画面上で言葉がつながって思わぬ方向に進んでいく様子に、生徒たちは「ふーん」、「なるほど」と眼を輝かせていました。

  11日(金)には、俳句や季語について学んだことをもとに「俳画づくり」を行いました。俳画とは俳句と絵が一体になった日本画のひとつで皆さんもご覧になったことがあるでしょう。生徒たちは、色紙に書いたオリジナルの俳句にふさわしいイラストを付けるなど工夫を凝らし個性あふれる素敵な俳画を完成させていきました。      

 ルポンに通う生徒の中には、自分の気持ちを言葉で表現することに心理的抵抗や不安を強く感じる子どもがいます。このようなプログラムを通じて言葉で自己表現する体験を積み重ねることで、不安や緊張が少しずつ緩和し、自分の思いを素直に言葉で伝えようとする気持ちが芽生えてきます。新しいことにチャレンジしてみようという気持ちと、できたという充実感を持つことで、生徒たちが自信を取り戻し、学校復帰につながって欲しいと願っています。

(教育相談室 大阪府高等学校教育支援センター)

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