教育支援センター便り5 ~シイタケの栽培~

 大阪府高等学校教育支援センター(愛称:ルポン)では、心理的または情緒的原因などにより登校の意思があるにもかかわらず登校できない高校生を対象に「学習支援」や「心理支援」を行い、学校復帰に向けたサポートを行っています。

 今回は、「園芸ワーク」を通して、自然と触れ合うことで心身のリフレッシュに繋がる大切な時間を経験しました。
 12月初旬に、シイタケ菌が植えつけられた栽培用原木のプレゼントが届きました。はやる気持ちを抑えながら添付された説明書で栽培の流れを確認し、手順に沿って、まず寒さにも負けず中庭で原木を水洗いしたあと、活動室に戻り栽培に適した場所に湿気を含ませた原木を袋にセットしました。
 シイタケは昼と夜の寒暖差が大きいところで栽培すると、1週間から10日程度で収穫できます。生徒たちは、毎日、午前の休憩時間を利用して栽培ブロックに霧吹きし、成長の様子を見守りました。

 夕方、退室するときには原木からシメジのような小さい頭が少し出ていただけだったのに、次の朝、登室すると軸が1~2センチも伸び、栽培から2日後にはシイタケの傘がハッキリと確認できるほどの成長の早さに、生徒たちは日々驚きながら成長の様子をタブレットのカメラ機能を使って記録に残しました。
 原木から収穫した肉厚なシイタケを自宅に持ち帰り、家族団らんで自分が栽培したシイタケがはいったお鍋を囲みながら栽培での感動話に花を咲かせた生徒もいたようです。

 添付された説明書によると、一度、収穫が終わった原木は3週間程度の休眠期間を挟んで2~3回にわたりシイタケの収穫ができるということだったので、いったん収穫が終わった12月下旬から1月中旬までしっかりと休眠させた原木を一昼夜水に浸し、現在、2回目の収穫に向けてチャレンジしている最中です。再び、少しずつ菌糸がシイタケに成長していく様子に生徒たちも「今度はどんな風にして食べようかな」などと瞳を輝かせながら、興味津々な様子で世話をしています。

 「食べる」ことは「生きる」ことにつながる、大切な行為の一つです。けれども不登校生徒の中には、周囲の視線が気になって人と一緒に食べることに不安を感じていたり、食べるという行為そのものに抵抗を持っていたりする子どもたちもいます。
 教育支援センターでは、年度によって多少違いはありますが、例年、生徒たちが自らの手でネギやニンジン、バジル、カモミールなどの植物を中庭で育て、成長の過程を楽しむとともに、調理ワークとして、たこ焼きやパスタを作ったり、休憩時間にハーブティーとして飲んだりすることで、少人数の中で食を楽しむ機会を設けてきました。

 今年度は新型コロナウイルス感染予防の観点から、残念ながら調理ワークは実施していませんが、シイタケの栽培・収穫を通して「食」への興味関心を持つことで、原木でシイタケが大きく成長していくように、生徒一人ひとりが自信やエネルギーを蓄えて学校復帰につながるよう支援してまいります。
(教育相談室 大阪府高等学校教育支援センター)

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