校長 片山 造
行動様式を「ルーティン(習慣的・定型的な手続きや仕事の事、日課。)」にすると、物事がスムーズに運ぶという話や助言をよく聞く。試合の時、靴紐を結ぶ順番とか当日の朝、縁起をかついで(かつ)を食べるとか、スタートラインに立つまでの動作を決めておく...何人かに聞くと、それぞれ何らかのルーティンがあるようだ。
私にとってのルーティンは(ポケットにカギを潜ませること)。大阪を離れ北海道の地で教員生活をスタートさせた時、強がってはいたものの不安や心細さがあった。先輩教員に「大阪に帰れ」と言われてめげたり、授業がうまくいかず落ち込んだりもした。いつからかきっかけは覚えていないが、ポケットに自分のアパートとともに大阪の実家のカギがついたキーケースを肌身離さず持ち歩くようになった。何かあると、ポケットのカギを(ぐっ)と握りしめ(なにくそ、負けるもんか)とこらえた。数年後、握りしめることはなくなったが、今もズボンのポケットにはカギが入っている。
この話を国語のB先生に伝えた。先生は「はあ...」と戸惑っておられた。伝えたかったのは、(自分自身とうまく付き合う方法、そして居場所づくり)だったのですよ。