校長 片山 造
最近、(骨粗鬆症)という言葉を聞く。今後「早口言葉」の定番になりそうな言葉だ。
江戸時代の儒学者(貝原益軒)の書に『養生訓(ようじょうくん)』がある。内容は、健康についての指南書。驚くべきは、人生50年といわれていた時代に、83歳の益軒が自己の体験に基づいて書かれた本である。もう少しだけ内容について触れておくと、例えば、「運動・栄養・休息の過不足なく生活することのススメ」「控えめな飲食と喫煙の害」「口膣衛生の重要性」「薬の効能と害」「老後の過ごし方」という章で構成されている。いずれも現代に通じるものばかりである。もうふたつ紹介しておきます。
①「養生訓」のなかで、長寿を全うするための条件として、4つの禁欲が書かれている。
【其の壱】あれこれ食べてみたいという欲 【其の弐】色恋を好む欲
【其の参】むやみに眠りたがる欲 【其の肆】いたずらに喋りたがる欲
⓶そして、後進へのメッセージとして「長く生きていると楽しみが増える。だから長生きしなさい。」とある。
医学の進歩もあり人間の寿命は急激に伸びた。人生50年と言われていた時代には、骨粗鬆症は気にもされなかったこと。人生100年時代を迎えるにあたり、あらためて、「養生訓」の教えを読み返してみるのもよいかもしれない。