働くということ

 7月20日の1学期終業式でお話した、「人はなぜ働くのか?」という話の続きをします。

(前回の話)和歌山県に、坂本フジヱさんという助産師さんがいました(1924~2021)。坂本さんは95歳まで助産師の仕事をし、約5千人の赤ちゃんを取り上げてきました。

 以下、坂本さんが「働くということ」について語った内容です。

①広い意味で、人の役に立つ行動はすべて「働く」でしょう。生まれて数か月の赤ちゃんだって、「人の役に立ちたい」という立派な感情をもっているんですよ。人間は生まれた時から「自分で決めて、行動し、達成したい」という本能をもっています。人生、何が大切かと言うと、(高揚感をもって、人生を楽しめるか)。ささやかであってもよい。(これをやっていたら心からたのしい)という人に人生の軍配があがります。そういう生き方ができた人は、いつまでも屈託なく、死ぬまでいい顔で笑っていますよ。

②職業と言うのは自然と導かれるもの。天職は探して見つかるものではなくて、文字通り、天が与えてくださるものではないでしょうか。だから、子どもたちの将来を案じる親たちは「待つ」ことも大切にしてあげてください。(中略)「そんな夢みたいなこと言って」なんて言っちゃだめですよ。大きい夢ほど、いいじゃないですか。

③60歳を越えたあたりから、仕事に対する気持ちがまるっきり変わりました。それは、小手先の技術や自分の実績などはどうでもいいのじゃないかと思うようになったんです。

 坂本さんは、亡くなる3年前の95歳まで助産師として勤めあげました。最後となる赤ちゃんを取り上げた坂本さんは「いい平和なお産ができました」と語ったそうです。そして、坂本さんの助産所には「年中無休」と書かれた看板が掛けられていたそうです。